なぜ?塩尻市が「自動運転」で全国から注目のワケ 地域DXのキーポイントとなる仕組み「KADO」

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まず、自動車メーカーについては、市場での実需と商品価格バランスを考慮し、運転責任をシステムに移譲する「レベル3」以上の高度な自動運転機能を持たせるのではなく、運転の責任が運転者側にある「レベル2」にとどめ、その緻密化を進める傾向が強まっていることが言える。

各社の自動運転開発関係者と意見交換をしていると、「早急にレベル3を目指すことがはたして正しい選択なのか」「そろそろ自動運転レベルの定義について抜本的に考え直すべき時期だと感じている」という声すら聞こえてくるほど。

ハンズオフを可能としたスバルのアイサイトX(写真:SUBARU)

メーカーによって次世代技術開発の進捗や投資金額は当然違うにしろ、単純に自動運転レベルを引き上げていくような製品/商品開発の志向ではなくなっているのだ。

そのうえで、車載コンピュータの情報処理能力の高速化、画像認識の技術や地図情報に関する技術のさらなる高度化、各種センサーの量産効果によるコスト削減などを通じて、自動運転関連の技術革新が進んでいる。

内閣府による産学官連携プログラムの成果

公共交通機関については、都心部、地方部、山間部などで、国が都道府県や市町村の施策を支援する形で、これまでもさまざまな自動運転実証試験が行われてきた。

これらは2010年代半ばに、欧米や中国に後れをとるまいと、内閣府が産学官連携で行うSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)で自動運転プログラムを立ち上げたことが、大きなきっかけだ。

さらに、SIPに参画する関係省庁では、SIPとは別枠の予算で経済産業省や国土交通省のほか、都道府県でも単独の自動運転支援事業が並存。さらに自動車メーカー、自動車部品メーカー、地図データ関連メーカー、新規サービスを担うベンチャー、そして大学や国の研究機関などによる、まさに産学官連携の体制が走り出していた。

その結果、自動運転技術は量産に向けて大きく前進したし、道路交通法や道路運送車両法などの法整備や、国連の場での国際協調といった一定の成果を示すことができ、自動運転の社会実装に対するベースが整ったといえる状況となった。

ところが、大きな課題も残った。いわゆる“実証のための実証”で終わってしまい、自動運転の社会実装の目途が立っていない地域が、数多く生まれてしまったのだ。

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