楽観的すぎる日米の株価は調整に向かいそうだ 一段の上昇があれば、その後はさらに深刻に

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また、アップルなどを中心に同国企業の10~12月期決算発表も数多く、目を離せない企業が目白押しだ。

さらには、FOMC(連邦公開市場委員会)が1月31日から2月1日にかけて開催される。ここで0.25%幅の利上げが行われると見込むが、すでにクリストファー・ウォラー理事が、1月20日の講演で「次回のFOMCでは0.25%の利上げを希望する」と明言したこともあって、市場ではそうした小幅利上げを見込む向きが大多数だろう。

シカゴの先物取引所(CME)が金利先物価格から算出する、市場の金利変更の織り込み度合いについては、金利据え置き見通しが1.6%、0.25%利上げ見通しが98.4%となっており、市場は0.25%利上げをほぼ確信していることが示されている。

とすれば、実際に0.25%利上げとなれば、とくに市場の好材料となるとは見込みがたい。そうした利上げ幅だけではなく、FOMC後の記者会見でジェローム・パウエル議長が何を語るかも注目されるが、一部では最近の株価の楽観的な雰囲気に対してクギを刺すとの観測もある。

主要国の景気は悪化、それでも株価続伸なら反動も

一方、日本では、アメリカに遅れて、3月本決算企業の2022年4~12月期(第3四半期累計)を中心に、10~12月期の決算発表が佳境を迎えてくる。

先行して24日に決算発表を終えた日本電産は、年度通期の利益見通しを大幅に下方修正した。決算説明会で同社の永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は、「ありとあらゆるところにモーターを納入している。われわれが落ちたらほかも落ちる」と語り、自社収益の苦境は経済全体の悪化を示唆していると述べた。

日本企業の足元の収益は、対前年比での円安やインバウンド消費の好調さなどがあって、アメリカほどの減益にはなりにくいだろう。したがって、日本の株価の対アメリカ株比では、日本株が優位に推移する可能性があると考える。

ただ、アメリカの景気や企業収益の悪化を同国の株価が正しく反映して下落すれば、日本株も押し下げられるだろう。両国の株価はともに下がるが、日本株の下落率が小さめになる、という見解だ。

もちろん、筆者の見通しが外れ、日米など主要国の株価が今週も来週も上昇基調をたどるという展開はありうる。ただ、もしそうなれば、先行きの株価の下落がその分だけ深刻になると懸念する。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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