ただ、出会いがアプリだったので、年収がわからない。いくら稼いでいるかが気になった。200万円から400万円のところにチェックが入っていたのだが、200万寄りか400万寄りかで大きく違う。
1人暮らしをしているので、さすがに200万円はないだろうと思っていたのだが、あきらが結婚の話をにおわせ始めたときに、思い切って年収聞いてみた。すると、230万円だという。あやみのほうが倍以上稼いでいた。当然貯金もほとんどしていなかった。
そして、こんなことを言った。「僕は、ストレスがたまらない、好きな仕事をやりたいんだよね。あやみちゃんは公務員で、仕事が安定しているから、2人で力を合わせていけばいいよね」
完全にあやみの稼ぎをあてにしていた。あやみは、私に言った。
「やさしい人なのが一番と思っていたのですが、私のお金をあてにしている時点で、魅力を感じなくなってしまいました。“やりたいことがあるから、今は下積みの時代だけれど、頑張って夢を叶えていく”というのとは違う。あるお金を無駄遣いせずにケチケチ使って、ストレスを溜めず、気ままに生きていくというのは、どうなのかなって」
そう考え出すと、お茶をするときは決まってハンバーガーショップの安いコーヒー、コンビニで買い出しをして公園で食べるようなランチデートが、一気に色褪せてしまった。
だんだんとあきらとは連絡を取らなくなり、自然消滅で関係が終わった。
最終的に結婚を決めた相手とは
あやみが結婚相談所での婚活を決意したのは、35歳という年齢が見えてきたからだ。そして、写真があり、年収や学歴、家族構成、身長体重、趣味などがわかり、「この人となら、結婚できる」と条件面で納得できる人を選べるのも良いと思ったという。
先が不安な時代なので、公務員という仕事は結婚後も続けていきたい。そのためには住んでいる地域も考慮した相手選びをしたかった。
そうしたなかでお見合いを重ねていき、人柄を見極めて、好きになれる相手だったら結婚を決めればいい。
いくつかのお見合いをし、最終的に選んだのはある企業に勤めるたつお(36歳、仮名)だった。年収はあやみよりも100万円ほど高い。唯一の趣味が走ることで、時には市民マラソンに出場することもある。
「朴訥としていて、女性が喜ぶようなことを言ったりやったりできる人ではない。結婚して、奥さんに花束を買って帰ってくるようなことは、絶対にしない人。花を愛でるなら大福を食べよう、みたいな(笑)。でも、上から目線の発言をしないし、些細なことで怒らないし、イコールな立場で夫婦関係が築いていけると思ったんですね」
そして、続けた。「長い年月を一緒にいれば、気持ちがすれ違うこともあるかもしれない。だけど、たつおさんならそれに気づいたときに、2人で話し合って軌道修正ができる気がするんです」。
“男運が悪い”と思っていたが、それは自分がそういう相手を選んでいたのだと、今となってはわかる。そして、その1つひとつを学びにしたからこそ、今がある。
「ささやかな幸せでいいんです。たつおさんを大切にしながら、感謝を忘れず日々を過ごしていけたらいいなと思っています」
過去の経験をどう捉え、それを糧にして未来を切り開いていくのは、自分次第なのだ。
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