2024年度を皮切りに介護保険の負担が重くなりそうだ。高所得高齢者の保険料アップから、自己負担2割の対象拡大、ケアプランの有料化まで、どんな姿になるか。全貌を占う。
介護保険制度が2000年4月にスタートして23年。高齢者人口の増加とともに介護ニーズも伸び続け、保険サービスの利用者数は制度創設から3.5倍、介護保険の給付費・事業費の総額も3倍超になっている。
当然ながら40歳以上の国民が負担する保険料の平均も急伸している。制度創設時との比較で、40〜64歳(第2号被保険者)の保険料は約3.3倍、65歳以上(第1号被保険者)は約2倍。こうしてみると現役世代のほうが保険料負担の伸び率は大きい。
今後は第2号被保険者を含む生産年齢人口がさらに減少する。ここに65歳以上人口の増加が加われば、現役世代の負担はさらに増し、保険料を折半する企業の負担も増え続けることになる。
高齢者でも所得のある者ほど負担が増える
岸田文雄内閣は目下、全世代型社会保障の構築を進めている最中だ。2022年末に出された構築会議の報告書では、高齢者は「支えられる世代」という固定観念を払拭し、「負担能力に応じて、全ての世代で、公平に支えあう仕組み」の強化を打ち出した。
介護保険で言えば、高齢者でも資産能力に応じた負担(応能負担)をいっそう求めていくことが、暗に示されている。保険料負担だけでなく、高齢者がサービスを利用した際の自己負担(所得に応じて1〜3割)の基準、給付範囲の見直しなども視野に入る。
ちなみに介護保険制度の改革サイクルは3年に1度。次の改革は2024年度となるが、その直後には、団塊世代が全員75歳以上を迎える2025年が訪れる。同じ高齢者でも65〜69歳と75〜79歳とでは、介護の必要度を示す要介護認定率が後者では10ポイント近く高まるという。介護ニーズのさらなる増大に向けた対応は必須なのだ。
そのタイミングに向けて、2022年に厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会は2024年度の改正、制度のあり方をめぐる議論を行ってきた。とくに紛糾したのが、被保険者・利用者の負担の増加、給付の範囲にかかる論点だ。
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