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75歳以上の後期高齢者が「出産一時金」を持つ時代 保険の効かない出産にかかる費用は平均48万円

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少子化対策を最重要課題に掲げる岸田政権。医療分野では、後期高齢者が出産一時金の一部を持つことが決まった。

薬剤師から薬の説明を受ける高齢者
少子高齢化の進行を受け、医療費は膨らみ続けている(写真:PIXTA)

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「出産費用」を後期高齢者(75歳以上)も支払うことにし、今後は全世代で負担してもらう。同じ後期高齢者間でも、所得に応じた「応能負担」を取り入れる──。

高齢者を軸とする医療保険の改革がじわり進んでいる。

2022年10月には一定以上の所得のある後期高齢者は、医療機関での窓口負担が1割から2割に引き上げられたばかり。続く二の矢、三の矢も、次々と放たれている。

同年12月15日、厚生労働省の社会保障審議会・医療保険部会で医療保険制度改革の内容がまとまったが、議論の中心になったのは「出産一時金」だ。出産育児一時金を2023年4月に42万円から50万円へと引き上げる。8万円増は過去最大の引き上げ幅である。

50万円のうち7%を後期高齢者が負担

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出産は病気やケガではないため、正常分娩には公的医療保険が利かない。実費の請求となり、分娩料や入院費、新生児管理保育料などで平均48万円かかるが、別途支給されるのが出産育児一時金。現行制度でこの費用を負担するのは、健康保険組合(健保)などに加入する現役世代に限られる。

今春からは50万円の出産育児一時金について、総額の7%を後期高齢者が負担するのだ。ただ、高齢者層の反発を考慮し、激変緩和のための経過措置として2024〜2025年度においては、出産育児一時金の7%に対して2分の1(総額の3.5%)を負担。2026年度からは2分の1ではなく、本来の全額(同7%)とする。

少子化高齢化が止まらない中、負担するのは現役ばかりでいいのか。2022年12月1日の医療保険部会では、健康保険組合連合会や全国健康保険協会(協会けんぽ)、経済団体から労働組合まで、5団体が連名で意見を提出した。

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