厳しい財政事情の国民年金を救済する案が浮上している。厚生年金や公費で下支えするか、保険料の納付期間を40年間から45年間に延ばすか。
公的年金は本当に大丈夫なのか──。
厚生労働省の社会保障審議会・年金部会が2025年に予定される年金改正に向けて議論を本格的に開始している。もともと現在の年金制度は、「100年安心プラン」と銘打った2004年の改正以降、毎年1%程度の年金給付カットを20年間程度行い、年金財政を将来的に維持可能なものにするつもりだった。
しかし、現在までに給付カット(マクロ経済スライド)は遅々として進まず、年金受給者は当初の予定よりも大幅に過剰な年金を受け取っている。今後は給付カットの遅れに加え、この過剰給付分をカバーするため、一段と大きなカットをしなければならない。
未納かつ3割カットなら月3万8000円程度
2020年に行われた厚労省の試算によれば、マクロ経済スライドによる給付カットは、なんと2046年まで続けられることになる。会社員世帯(厚生年金のモデル世帯)の給付水準は、2019年比で2割弱(17.3%)減、自営業者など国民年金世帯は、実に3割弱(27.2%)減。現在、国民年金は満額で月額約6万5000円だから(2022年度)、3割弱カットされると、月4万7000円程度になる計算だ。
実際には過去に未納期間があるなどして、国民年金を満額受給できる人は少ない。平均受給月額は月約5万3000円だから、3割弱減なら3万8000円程度である。これでは年金だけで健康で文化的な最低限度の生活を送ることは不可能だろう。
このため、次期年金改正では、この基礎年金(国民年金)の目減りに歯止めをかける改革案が検討される見込みだ。
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