5年間で43兆円という巨額。防衛増税をすれば、防衛費に対する国民のチェックが厳しくなるはずだ。
国民の間で賛否が分かれる「防衛増税」。いったい何が正しく、何が間違っているのか。
2022年12月8日、首相官邸で開催された政府与党政策懇談会で、岸田文雄首相が初めて防衛増税を明言した。同月16日には、具体策が「防衛力強化に係る財源確保のための税制措置」として、税制改正大綱に盛り込まれ、与党が決定。続く23日には閣議決定されるドタバタ劇だった。
すべては税制改正大綱と同じ日に決まった防衛力整備計画で、2023年度から5カ年の防衛費の総額を43兆円程度にするためだ。2019年度からの5カ年の総額は、27.4兆円程度だったから、1.5倍を超える増額である。
増税の時期は「2024年以降の適切な時期」
これを実現するためには2027年度以降に毎年度4兆円前後の追加財源を確保しなければならない。そのうち約4分の3は「歳出改革」、「決算剰余金」、税外収入などを貯める「防衛力強化資金」で賄い、残り約4分の1=1兆円強は増税で賄うことにしたのである。
焦点が当たっているのは増税だ。「法人税」と「たばこ税」の税率引き上げ、「復興特別所得税」の一部を防衛財源に転用することが、すでに決定されている。しかし、肝心要の実施時期は、「2024年以降の適切な時期」とあいまいにしか記されておらず、今後に火種を抱えることになった。
年末までの短期間での決着について、全面的に賛同する声は聞かれない。増税を受け入れるにせよさまざまな問題点がある。
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