ガンなどの治療にも使える高額療養費制度が、意外にも、2024年秋に移行する「マイナ保険証」でグッと利用しやすくなる。
がんなどで高額な医療費が必要なとき、経済面で助けになってくれるのが「高額療養費制度」だ。
例えばかかった医療費のうち、医療保険からの給付を除く窓口負担が全体の3割とすれば、2割が高額療養費として払い戻され、自己の負担は1割で済む、という具合である。
実はこの高額療養費制度が「マイナ保険証」によって、より使いやすいものになろうとしている。2023年4月から医療機関・薬局でマイナ保険証への対応が原則義務化、2024年秋には現行の健康保険証が廃止されマイナ保険証に一本化される(マイナ保険証を持っていない人には資格確認書で可)。これに伴って意外にも高額療養費制度が関係してくるからだ。
支給のうち半分以上が後期高齢者向け
改めて高額療養費制度を説明すると、1カ月に支払った医療費の自己負担分が一定額を超えた場合、超えた分が高額療養費として、健康保険組合などから支給される仕組みである。2019年度には6090万件の支給実績があるが、そのうち半分以上は後期高齢者(75歳以上)に対するものになっている。
高額療養費は1カ月を単位としているので、12カ月で割った件数が実態とみられる。1件当たりの支給額の平均は4万4399円。現役世代(69歳以下)が加入する協会けんぽ、組合健保などでは1件11万円を超えており、その経済的意義がわかろう。
自己負担の限度額は、①69歳以下、②70〜74歳、③75歳以上という年齢階級と、収入あるいは所得によって区分される。2022年9月まで、②と③は基本的に同じで、区分する必要はなかった。
ところが、2022年10月から後期高齢者の一部に医療費の2割負担が導入されて、局面が変わる。大幅な負担増を緩和するため3年間の経過措置として、2割負担の人たちの外来での負担増が最大でも月3000円までに収まるよう、高額療養費の新たな仕組みが導入されたのである。
69歳以下の現役世代の場合、自己負担の限度額は、年収で5区分に分けられた。
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