四国新幹線、実は各地に存在する「敷設への伏線」 線路用地や不思議なトンネル、瀬戸大橋にも

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瀬戸大橋を抜けて四国に入るとコンクリート製の高架橋に入る。この高架の形がおもしろい。橋の中央部を通る線路が再び東側に寄る過程で、高架橋の幅が膨らんではカクッと複線分の幅に戻るといった光景を2回ほど見ることができる。新幹線用の高架を継ぎ足しやすいように考慮された設計だろう。

進行方向右側にカーブして線路の上を通る高速道路から分かれた後、西側に目を向ければ、これまた複線の鉄道が敷設できそうな幅の空き地や駐車場が姿を現す。これらも新幹線の用地である。そして広大なロータリーが見えてくると宇多津駅である。駅の西南寄りには大きなゴルフ練習場があるのが目立つ。この付近はゴルフ練習場のほか、駐車場、細長い用地などが土器川のところまで続いている。

宇多津駅西南側
宇多津駅の西南側には駐車場やゴルフ練習場が広がる(筆者撮影)

ただ、もし宇多津駅から高松ルートを分岐させるとなると、在来線のデルタ線の高架橋が2層構造になっていたり、高さが異なる高架橋が2本並んでいたりするところがあり、これを越えるにはかなりの勾配と高さのある高架橋が必要となるだろう。ただ、坂出駅北には西大浜公園という細長い公園が東西に約2kmにわたって続いており、これは高松ルートの整備に転用できそうだ。

日本地図に四国がない?

SNSでは一時期、ある海外の高速鉄道フェスティバルにあった日本の高速鉄道を紹介するブースで、四国が抜けた日本地図が展示されていたことが話題となった。新幹線が通っていない四国は関係ないということなのだろう。

これを見て、四国がまるで日本の一部として認められていないような感覚に悔しさを覚えた人も多いのではないだろうか。四国の各都市はすでに新幹線駅がある本州の地方都市と比較しても、新幹線を通すに足る人口を擁しており、私鉄や市電網が充実している松山や高知を訪れたとき、筆者は新幹線が通っていないのが信じられないと思ったほどだ。

鉄道に関する自民党のプロジェクトチーム(西田昌司座長)は2022年5月19日の会合で、整備新幹線など高速鉄道網に今後10~20年間で総額30兆~50兆円規模を投じるよう求める提言案を示したとのことだ。

新幹線の整備は夏休みの宿題のようになかなか進みにくい。だが、前述のとおり用地の確保や準備が行われている区間は少なくなく、木見駅―岡山駅間の用地を確保すれば、宇多津までなら建設はさほど難しくなさそうだ。比較的整備しやすい条件が揃っている宇多津まででも整備できれば、まずは宿題をやるために机に座ってノートを開くところまでは達した、と言えるのではないだろうか。

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北村 幸太郎 鉄道ジャーナリスト

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きたむら こうたろう / Koutaro Kitamura

1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。学生時代は株式会社ライトレールにインターン生として同社の阿部等社長のもと、同社主催の「交通ビジネス塾」運営などに参加。

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