四国新幹線、実は各地に存在する「敷設への伏線」 線路用地や不思議なトンネル、瀬戸大橋にも

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まずは本州側だ。新幹線建設の準備とみられる部分は、基本的には在来線(瀬戸大橋線)の西側にある。例えば、瀬戸大橋線の上の町駅と木見駅の西側には、新幹線の複線程度の幅で切り取られたような空き地や駐車場が見られる。これは航空写真やGoogleマップでも確認できる。

児島駅も、駅の西側に広大な駐車場がある。それも駅前だけでなく、北は小田川を越えて児島武道館前まで、南は斎場の先に草が生い茂った広大な土地があり、さらに先にも駐車場や空き地が瀬戸大橋線に沿って存在する。

児島駅西側の駐車場
児島駅の西側に広がる駐車場(筆者撮影)
児島駅付近の新幹線用地
児島駅西側の駐車場より先に広がる空き地(筆者撮影)

鉄道用地らしく見えるこれらの土地は、実際に新幹線の準備用地なのだろうか。児島駅・上の町駅前駐車場を管理するJR西日本中国メンテックに聞くと、土地はJB本四高速(本州四国連絡高速道路)から借りているという。JB本四高速は、瀬戸大橋の道路や鉄道を建設・管理していた本州四国連絡橋公団(本四公団)の業務を、日本高速道路保有・債務返済機構とともに引き継いでいる。

そこでJB本四高速に問い合わせると、木見駅前の空き地を含め、日本高速道路保有・債務返済機構の所有地であり、新幹線用に確保されたものであるとのことだった。

不思議な構造のトンネル

児島駅を出て瀬戸大橋に至るまでの区間はちょっと複雑だ。線路は高架橋が終わるあたりで西側に寄り、その先は新幹線規格の神道山トンネルに入る。ここは在来線用のトンネルを建設しておらず「新幹線用」のトンネルを使っているのだ。同トンネルを抜けると箱型の巨大なコンクリートの空間に顔を出し、今度は鷲羽山トンネルに入る。

鷲羽山トンネルは複線規格のトンネルが2本並んでいる。西側は新幹線規格、東側は在来線規格で建設されており、現状では前者に岡山方面、後者に四国方面の線路が1線ずつ敷かれている。そして鷲羽山トンネルを抜けると瀬戸大橋となる。列車の先頭部に乗れば、神道山トンネルを抜けると急に暗い箱型の空間に入り、複線規格のトンネル2つに線路が分かれていく様子がわかるだろう。

瀬戸大橋は4線を敷設できる空間を擁しており、西側半分に新幹線、東側半分に在来線の複線を通せる構造だ。だが、橋の開通時から今まで新幹線が走るメドは立っていないため、荷重バランスを考慮して在来線の岡山方面行き線路は新幹線の四国方面行き部分(西側)に、在来線の四国方面行き線路は、新幹線建設時には在来線の岡山方面行き線路となる部分(東側)に敷設されている。また、現状では新幹線用の設備が存在しないため、代わりに線路沿いのところどころに死重としてコンクリートの塊を入れた細長い鉄の箱が置かれている。

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