日本人が知らないフランス「少子化対策」真の凄さ 岸田首相「異次元の少子化対策」に必要なこと

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現在、フランスの家族政策の政策立案、実施、運営を行っているのは、家族・児童・女性の権利省(通称、家族省)だ。それまで特命担当大臣の管轄だったのを2016年2月から省に格上げし、少子化、高齢化、女性問題に本腰を入れた。

ただその後、少子化と女性問題を結びつけたことが批判され、マクロン政権では首相府が主導する首相府付男女平等・多様性・機会均等担当大臣と、子どもの保護に特化した首相付子ども当副大臣が任命された。家族と女性人権分野の大臣は基本的に女性が任命されている。

マクロン大統領は、関係者との討論会を繰り返し、浮上した幼児を取り巻く環境格差拡大を抑制するため、5歳から7歳の幼児教育では、1クラス24人以下という少人数制導入と教師のスキル向上を方針として打ち出した。

コロナ禍で田舎に移住する若い夫婦が増加

フランスでは近年、育休事情も変化してきている。コロナ禍でテレワークが浸透したことから、都会を抜け出して田舎に移住する若い夫婦が増えた。狭い都会のアパートから庭の広い自然環境に恵まれた田舎暮らしを選択する主な理由の1つが子育てだ。

ここで注目されるのが、都会にはなかった住民たちで構成されるコミュニティーの存在だ。地域コミュニティーこそ、子育てにおいてきめ細かな支援サービスができるという考えで、6歳未満の子ども向けの保育サービスを開発するための複数年計画を自治体は採用することができると家族法に定められている。このコミュニティーで子育てを行う有効性が、今注目されている。

託児所や学童保育など集団保育施設では、保護者が就労中、研修中、求職中の6歳未満の子どもを日中受け入れることができる。最近は就労だけでなく、親が気晴らしをするための食事会やリクレーションも受け入れ理由に含む場合が多い。フランスでは集団保育施設に営利目的の民間企業が入り込むことはほとんどない。

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