日本人が知らないフランス「少子化対策」真の凄さ 岸田首相「異次元の少子化対策」に必要なこと

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実はフランスの子育て支援政策は他の欧州諸国より非常にきめ細かい。毎年、家族政策に関係する公的機関や私的組織関係者らからの丁寧な聞き取りを行い、費用対効果を検証している。子ども・子育て支援に対する公的支出に3.6%も投じているのだから、当然とも言えるが、地道に課題解決に取り組んでいる。簡単に紹介すると、

①第3子から支給され、所得制限はあるものの大半の世帯が受給する家族手当
②子育て世代、とくに3人以上の子育て世帯に対して、大幅な所得税減税を適用するN分N乗方式
③子育てのために仕事を全面的に休むのか、週4日や3日勤務、半日勤務などの時短労働を選択できる就労自由選択補足制度
④育児で保育ママに子どもを預ける選択をした場合に支給される保育方法自由選択補足手当
⑤妊娠後の産科の受診料、検診費、出生前診断、出産費用など妊娠出産から産後のリハビリテーションを含む費用の全面無料化
⑥母親同様の有給扱いで育休を取る父親も賃金の80%を保障
⑦不妊治療を公費で実施(43歳まで)
⑧高校までの授業料無料、大学も少額の登録料のみ(私立は例外)、返済不要の奨学金制度
⑨3歳まで育児を引き受ける認定保育ママから学童保育まで無料
⑩PACSで事実婚の社会保障への組み込み、非摘出子という言葉の民法からの削除
⑪子どもを3人養育すると年金が10%加算される年金加算

などだ。筆者もその恩恵を受けている。30年以上、フランスの家族政策を取材してきた筆者から見ると、フランスの家族政策に学ぶべき最重要事項の1つは、政策立案段階から実施後にかけて、正確な現状把握を継続的に徹底して行っていることだ。

効果を上げるために粘り強く試行錯誤

1982年に家族全国会議(現家族児童高齢者協議会=HCFEA)が設置され、首相以下、関連省庁の大臣、自治体議会の議長、労使団体、家族協会全国連合、専門家などで構成されるメンバーが、現状の正確な把握に努めており、問題点の洗い出し、施行された政策の進捗状況や成果の検証、課題の抽出を毎年行っている。

結果として政権の人気取りと官僚の一方的な政策策定による予算のばらまきは回避されている。実質的成果を上げるための試行錯誤が粘り強く、長期にわたって積み重ねられ、結果として非常にきめの細かな家族政策が実施されてきたことは大いに評価すべき点だ。さらに政権交代に左右されないよう継続的に超党派で取り組んでいることも重要だ。

例えば、0歳から2歳までの子どもの約17%が国家資格を持つ保育士がいる保育園に預けられている一方、33%が日本でいう保育ママに相当する母親アシスタントに預けられている。政府はオランド政権時代から、母親アシスタントのスキルの平準化のため、専門性重視の研修制度を実施しており、マクロン現政権も踏襲している。

この例でも権威ある児童心理学者、シルヴィアーヌ・ジャンピノ氏が中心となり、保育士や保育園運営者、地方自治体の長や保育担当官、代議士、親など保育に関与するありとあらゆる人々への徹底したヒアリングを実施している。同氏は「何を改善するかを判断するには、現場をできるだけ近くで見て、全体像を把握する必要がある」と述べている。

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