「アウトランダーPHEV」が発売1年で残した爪痕 プリウス、MX-30…ライバル登場が追い風に

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年間を通じた2022年1~12月の販売台数は、1万7662台。ランキングは32位で、前年比は713.9%。これまた三菱自動車としては最上位となる。ラインナップとして、もっとも高額なクルマが一番に売れているのだから、三菱自動車にとって、これ以上ない喜びだろう。

ライバルの登場が追い風となる

2021年暮れに発売され、2022年は1万7662台を売り上げ、月販1000台という目標をクリアした2代目アウトランダーPHEV。一見、好調に思えるが、新型登場を待ち望んでいたコアなファン層は、すでに購入を済ませたと見られる。

仮にそうだとすれば、今年は厳しい年になるかもしれない。先代などからの代替え以外に、どれだけ新規ユーザーを獲得できるかがカギとなるだろう。

しかし、追い風の予感もある。それが2023年3月に発売が予告されているトヨタ新型「プリウス」のPHEVモデル登場だ。

2023年3月発売予定の新型プリウスPHEV(写真:トヨタ自動車)

また、マツダは1月に、ロータリー・エンジンを搭載する独自のプラグインハイブリッドである「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」を公表した。

自動車市場とはおもしろいもので、ライバルの存在によって数字が伸びることがある。孤高の製品よりも、ライバルがひしめき合っていたほうが各車、売れるのだ。

そういう意味で、他社からもPHEVの登場が予定されている2023年、再びアウトランダーPHEVが注目を浴びる可能が高い。おそらく、今年もアウトランダーPHEVの売れ行きは、まずまずなものとなるだろう。

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振り返ってみれば、2000年代に入ってからの三菱自動車は、悪いことばかりが続いた。リコール隠しや燃費試験の不正などで、ブランド力は落ちる一方。「パジェロ」「ギャラン」などの代表車種の生産終了もあった。

そんな中、アウトランダーPHEVの先進性や製品としての出来のよさを見ると、「三菱自動車のエンジニアの意地であったのではなかろうか」と思うのである。個人的には、出来のいいクルマをもっともっと投入してほしいと願うばかりだ。三菱自動車は、それができるメーカーなのだから。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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