「来ちゃった」 酒井順子著

「来ちゃった」 酒井順子著

書名は、宿願の地にとうとうやってきた、ということ。個性的な旅38回のエッセーは、どれも行き先と目的がユニークで観光名所はほとんどない。もっぱら列車に乗っての居眠り自在の気楽な旅が、いったん下車すれば参加型、体験型の気楽とは言いがたい旅に一変する。沖縄の多良間島、琵琶湖北岸、宮崎の椎葉村、福島・土湯、同いわき、宮城県田代島など地名を聞いてもぴんとこない所が大半だが、猫だらけの島、廃線の跡、箱蒸し風呂、キノコ狩りなどなど、旅の目的が多様で面白い。

場所と目的の意外性に読み手の波長が合えば、どの旅も十分楽しめるだろう。スローな文体と柔らかなイラスト(ほしよりこ)のおかげで、スローな旅の味わいを実感させられる。ツアー旅行とは対極にあるこんな旅にいざ自分も、と思っても容易ではなかろうが、本で楽しむだけというのも悪くない。しかも随所に出てくる満載のイラストも臨場感十分に堪能できる。(純)

小学館 1470円

  

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 高城幸司の会社の歩き方
  • 日本人が知らない古典の読み方
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 就職四季報プラスワン
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
おうちで稼ぐ、投資する!<br>在宅仕事図鑑

コロナ禍の下、世代を問わず広がったのが「在宅で稼ぐ」ニーズ。ちまたにはどんな在宅仕事があり、どれくらい稼げるのか。パソコンを使った「デジタル小商い」と「投資」に分け、誰にでもできるノウハウに落とし込んで紹介します。

東洋経済education×ICT