通貨戦争 影の支配者たちは世界統一通貨をめざす 宋鴻兵著/橋本碩也 監訳/河本佳世訳 ~陰謀史観に基づく国際銀行家史
世界を動かしているのはユダヤ人を主力とする国際的な銀行家たちである、という考え方から、1723年から約300年の歴史を振り返り、そこで力を振るった17の主要銀行家一族の相関関係をパノラマ図のように描いている。
前著『ロスチャイルド 通貨強奪の歴史とそのシナリオ』に続くこの本では、陰謀史観に基づいて、さまざまな政治、経済、そして国際的な事件をドイツ、英国、フランス、そして米国について詳しく書く。
重大な事件の裏には必ずといっていいほど銀行家がいて、国の外交関係も彼らが動かしているというわけだ。
ただ、20世紀になって、このような銀行家たちに対する風当たりが強くなり、第1次世界大戦後、国際銀行家たちは公の場から姿を消し、財団が前面に出て、これが株式支配権を行使するようになったという。
しかし、この財団を支配しているのは同族ファミリーだから、銀行家による支配には変わりない。このように歴史が国際銀行家、すなわち大金持ちの個人資本家によって動かされているというふうにとらえるのが陰謀史観であるが、中国ではこのような考え方に変わらず人気があるようである。
しかし、これでは独占資本としての株式会社がもっている力を見損なうことになるのではないか。
現在のウォール街を支配しているのは、創業者一族の資本家ではなく、株式会社としてのゴールドマン・サックスであり、モルガン・スタンレーであり、それを動かしているのは経営者たちである。このことは、本書でグリーンスパンについて書かれているところにも当てはまる。
ただし中でも、サブタイトルにある世界共通通貨について書かれているところは興味深い。
宋 鴻兵
中国の環球財経研究院院長。1968年中国四川省生まれ。遼寧省瀋陽市の東北大学卒。米アメリカン大学で修士号取得。2002年より米国のファニーメイとフレディマックでコンサルタントを務め、07年中国に帰国。08年より現職。
武田ランダムハウスジャパン 2205円 482ページ
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