他社が見つけた成長市場に参入するのは簡単か? 後発は先発よりも優位では?と考える人の盲点

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他社が牽引する成長市場に後追い参入する道とその独特の難しさとは(写真: fizkes/PIXTA)
経営戦略を担う幹部候補生のために、日本企業を題材に累計464のビジネスケースを集めた『経営戦略の実戦』シリーズ(全3巻)がついに完結した。
高収益事業を創り上げた先人たちは、どのような挑戦をしたのか。そこから私たちが学べる教訓は何か。151の成功ケースと101の失敗ケース、計252ケースを取り上げたシリーズ第1巻『高収益事業の創り方』から、成長市場で成功を収めたケースの一部を抜粋・編集してお届けする。

なぜあの市場を我が社は傍観するのか

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経営幹部候補生の多くにとっては、他社が牽引する成長市場に後追い参入することが使命となる。つまり、市場のライフサイクルの成長段階までに着手する後発のケースである。

他社がリスクを取って存在を証明した市場は、トップにも社員にも魅力的に映るし、なぜ我が社は傍観するのかと誰でも問いたくなる。

PPM(製品ポートフォリオ・マトリックス)理論も、市場の増分を取り込むことで他社の顧客を奪いに行かなくても首位に躍り出る余地が残る成長市場には、資源投入を奨励する。

後発参入は先発よりも優位なのか?

後発参入は、場合によっては先発より有利なことも知られている。技術進歩の目覚ましいフィールドでは、新しい技術を採用した後発企業が、古い技術にコミットした先発各社を追い落としてしまう現象は珍しくない。

たとえば、技術が高額設備に宿る製鉄業で日本勢が20世紀後半に欧米勢を追い落とした現象は、この資本ビンテージ理論のロジックで説明できる。

後方互換性を保証しなければならない製品ラインに技術が宿るコンピューターでDECやSUNが1990年前後にIBMを追い落としたのも、同じことである。

しかしながら、本書の分析結果はビンテージ理論を支持しない。なぜならば成長市場を扱った分析では技術進歩の早いフィールドで成功ケースが出ていないからである。

それどころか、PPM理論も支持しない。理論が想定するようなシェア争いを派手に演じて成功したケースがないに等しいからである。

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