これをたとえば、アップルで見るとどうなるか。
アップルは当初、パソコンを主戦場に戦っていました。Macです。けれども、これがなかなかうまくいかない中で、2001年にiPodを出します。
こうして、パソコンの会社が、皆さんに音楽を配信する会社に変わってきます。
私もMacユーザーですが、Macユーザーが高齢化して、この人たちと一緒に命脈が尽きていくということでは困るので、アップルはiPodを出すことで、まずは顧客の平均的な年齢層を50代から20代まで下げました。
それから、若い人の間でアップルという名前が浸透した頃合いを見計らって、2007年にiPhoneを投入します。
日本企業にはギアチェンジが欠けている
こうして、パソコンの会社が音楽の会社になり、それから電話の会社になりますが、iPodもiPhoneも、その中身はコンピューターです。
つまり、ユビキタスなコンピューティングをやるという信念は微動だにしていないけれど、それを問うときの形が変わっている。これも明確にギアチェンジしている例と言えるでしょう。
そしてアップルは、ギアチェンジするたびに、飛躍的にステージが上がって大きくなっていきます。今やアップルの時価総額は300兆円。その面ではトヨタ10社近くに匹敵する会社になりました。これはすごいことです。
日本企業に欠けるのは、このギアチェンジの重要性の認識です。ギアチェンジをしない限りは次のステージに行けないし、よって成長しないのです。
先輩たちがつくり上げた事業にしがみついて、もっと営業を頑張れとか、改善を頑張れと言って社員のお尻をたたいたところで、ギアチェンジしていく企業にはまったく歯が立ちません。
ギアをチェンジするという仕事は、経営者にしかできない。この仕事がうまくいっていないのが、日本企業最大の問題なのです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら