いったいなぜ「コロナ後遺症」はこうも長引くのか 持続感染で「8日目以降」もウイルスを排出?
また、原田准教授らが行った感染シミュレーションによると(グラフ)、新型コロナはウイルスがなくなる完治状態は起こりにくく、体内にウイルスが残り続けるのが一般的だという。重症化した人は、平均的な症状の人よりもウイルスが残ると見られ、長引くコロナ後遺症はウイルスの持続感染が要因だと見ている。
そのうえで、川上教授のデータについて、原田准教授はこう語る。
コロナの特性を理解し、適切な対応を
「ウイルスと免疫の攻防で、Ct値が上下している様子が見られます。ラゲブリオによって一時的にウイルス量が抑えられたにもかかわらず、投薬終了によるリバウンド(反動)で発病後10日目でもCt値が20台まで上昇し、かなりの量のウイルスを出していると考えられます。厚労省のアドバイザリーボードでも発病後7~10日でも二次感染を引き起こす十分な量のウイルスが排出されることが指摘されています。療養解除8日目以降も自身の免疫に負担をかけない生活と周りに感染させない対策が必要です」
療養解除後の感染リスクやウイルスが再び増加することについて、厚生労働省はどう捉えているのか。
厚労省によると、国立感染症研究所が実施した調査では、ウイルスを排出している人の割合は、発症日から数えた8日目で16%、11日目で3・6%だ。排出されるウイルス量も、発症早期に比べると、発症後7日以降は6分の1程度に減少している。
同省の担当者は、8日目以降にも感染リスクがあるため引き続き感染症対策が必要だとするが、「発症直後と比較して相対的にリスクは低下しており、ウィズ・コロナの社会において療養期間の短縮は問題ない」と説明する。
ウイルスが再び増えることに関しては「専門家の会議で検討されてはいないが、風邪でもぶり返すことはある。現時点では一般的なコロナ対策に落とし込むような話にはなっていない」(厚労省担当者)という。
新型コロナ対策については、十分な体制が整っているとは言い難いのが現状だ。コロナの特性を理解し、適切な対応を心がけたい。
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)
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