それでもダメなら「熟年離婚」
長い間、家庭内離婚や仮面夫婦状態を続けていくと、家の中は居心地が悪くなり、確実に心身を蝕んでいきます。そうして人知れず夫婦の不仲に苦しみ、心身にまで異常をきたす熟年世代を私は精神科医として数多く見てきました。
「もう夫婦ではいられない」「“つかず離れず”で関係を続けていくのも無理だ」と感じるなら、離婚して再出発するのも幸せな人生を歩む上で必要な選択です。
あなたは相手の「おむつを替えてあげる(もらう)」ことができるでしょうか?
極端なことを言えば、70代以降の夫婦関係はそういった意味合いも含まれます。
今や離婚する夫婦の5組に1組が「熟年離婚」という時代。厚生労働省の調査によれば、2020年に離婚した夫婦の中で、20年以上同居して別れる「熟年離婚」の割合が全体の21.5%と過去最高を記録しました。
さらにこの10年ほどで、同居期間が25年以上の離婚件数も急増。中高年夫婦の離婚が2倍以上に増えていると言います。
その多くが、夫の定年を機に妻から離婚を切り出すケース。会社勤めの時代は夫に多少の不満があってもやり過ごせたものの、定年後はそうはいきません。四六時中、夫と過ごすことに我慢ならなくなり、離婚に踏み切る例が多いようです。
もちろん夫から切り出すケースもあります。「収入がなくなった途端、妻の態度が冷たくなった」「妻のワガママやキツい言い方に耐えられなくなった」など、不満が積み重なって、それなら「ひとりのほうが気楽でいい」と離婚に至る場合もあるでしょう。
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