熟年離婚は今や珍しいことでもなんでもありません。多くの中高年夫婦を見てきましたが、「離婚して心が晴れ晴れした」という人は大勢います。
特に女性に多く見受けられますが、周囲も元気になった本人の姿を見て、「新しい人生の幕開けだね」と祝福するほど、離婚へのネガティブなイメージは減ってきたように思います。
だからと言って、積極的に離婚をすすめたいわけではありません。やみくもに離婚に突き進んでも、その後の生活が立ち行かなくなる恐れもあるからです。
DVやモラルハラスメント、不倫、借金癖など何か決定的な理由がある場合は「すぐにでも別れたらどうですか」と言いたいところですが、「相手が嫌いではないけど、一緒に居るのはストレス」という程度であれば、「つかず離れず婚」や「完全別居」という手もあります。
勢いで離婚を切り出す前に、まずできること、考えておくべきことについてお伝えしていきます。
自分の思いを書いていく
相手に対して不満がある場合、それは具体的にどんなものなのか、箇条書きでもいいので挙げてみてください。
例えば、「何かにつけて文句を言われる」「束縛がきつい」「話を聞いてくれない」「浪費癖がある」など、いろいろ出てくるはずです。
そうした不満に対して、「まぁ、相手に期待しなければいいか」と受け流せるでしょうか。それとも、見過ごせないレベルでしょうか。もし見過ごせない場合、どうなったら自分の心が楽になるか、望む状態について考えてみてください。
「(相手に)せめて自分の身の回りのことは自分でやってほしい」とか、「日中は(相手に)断りなく、自由に外出できるようになりたい」とか、「物を買うのはいいけど、自分のへそくりから出してほしい」など、いろんな要望が出てくるでしょう。
「そもそも相性がよくないから、なるべく距離をとりたい」というのもアリです。自身の要望や夫婦生活を続ける上で譲れない条件を整理してみるのです。
ただ不満を溜め続けるのではなく、解決に向けて一歩踏み出すと気持ちが軽くなっていくはずです。
自分の要望や夫婦生活を続ける上で譲れない条件が整理できたら、相手に伝えてみましょう。
「え? 相手に言うの?」と、抵抗感が出た方。これまでの経験から、「どうせ言っても変わらない」「相手の機嫌を損ねるのが嫌だ」と感じて、言うのをあきらめてしまっていませんか。
確かに昔は何を言っても、頑として聞き入れてくれなかったかもしれません。だけど、今は相手もそれなりの年齢を重ね、性格も多少丸くなっていたり、この先の暮らしに心細さを感じていたりすることも考えられます。特に男性の場合は、男性ホルモンの減少により、攻撃性が弱まっている可能性もあります。
案外、言ってみたら、「わかった。そうしたらいいよ」「ごめん、気をつけるね」などと素直に受け入れてくれるかもしれません。
そもそも相手への不満が大きくなるのは、言いたいことをずっと我慢してきたことも原因の一つです。言わないで溜め込んでいると、負の感情がどんどん膨らんで、必要以上に相手に対して嫌悪感が増すこともあります。
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