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トランプ米大統領の「大きく美しい減税」がもたらす危機の形/金利の正常化は不可避だった。超低金利が永遠に続くと思い込むべきではなかった

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トランプ米大統領
トランプ米大統領(写真:アフロ)

不快な真実を王に告げるという大胆な行動に出られるのは、中世では宮中のお抱え道化師くらいのものだった。半ば宮廷と化した現代の米ホワイトハウスと王様気取りの大統領ドナルド・トランプに対して、それと同じ役割を担っているのが債券市場である。

チェコ・プラハに本拠を置く国際的NPO「プロジェクト・シンジケート」は多くの有力者の論評・分析を配信しています。「グローバルアイ」では、主に同シンジケートのコラムの中から厳選して翻訳・配信しています。

トランプの「大きくて美しい」減税・歳出法案が議会通過へと突き進む中、国内総生産(GDP)比で6.4%という巨額の財政赤字が放置されるのは火を見るより明らかな情勢だ。それどころか米国の財政赤字は、トランプの下で同7%を上回り続ける公算が大きい。感染症の爆発的流行、金融危機、戦争といった巨大なショックが新たに発生すれば、財政赤字はさらに膨らみかねない。

米国債は究極の安全資産と広く見なされているため、世界の投資家からの需要は無限であるかのような状況が長く続いてきた。だが、米国の政府債務残高はGDP比で122%に達しており、米国債への旺盛な需要はそこまで長続きしないかもしれない。米国債の利回りは30年物が5%、10年物が4.5%近傍にあり、10年前に比べざっと2%分も水準が切り上がっている。その結果、債務の利払い負担は急速に増えており、すでに国防費を上回るようになった。

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