有料会員限定

深刻な不動産不況に米中貿易戦争でも意外と粘っている中国経済、緩やかな改善が続いてきたが、夏以降の減速に要注意

✎ 1〜 ✎ 490 ✎ 491 ✎ 492 ✎ 493
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小

悲観されていた中国経済には持ち直しの動きもあるが、減速懸念もあり、政府のテコ入れ策が焦点だ。

上海沖合の洋山深水港。トランプ関税の動向が懸念される中、輸出を急ぐ動きもある (写真:The New York Times)

中国経済は基調的な弱さはあるものの、昨年夏ごろを底にした緩やかな改善が続いている。昨年夏ごろは、消費が落ち込み、不動産不況が深刻化しているにもかかわらず、政府が景気テコ入れを尻込みしていた。現地からは、景気に対する悲観的な見方や政府の対応の鈍さに対する失望、不満の声が聞かれていた。

しかし、昨年9月末の異例の共産党中央政治局会議開催を契機に政府が景気重視姿勢にシフトし、経済対策を矢継ぎ早に打ち出した。耐久消費財の買い替え補助金を配布したことで、家電、自動車が売れ始めた。不動産販売も一部の大都市で上向き始めた。輸出も、トランプ米大統領就任が決まった頃から、アメリカの関税引き上げを見越した駆け込みにより伸びを高めた。

意外な持ち直しが続く中国経済

今年第1四半期の経済成長率が5.4%を記録した後、4月以降、米中貿易戦争が激化してからも、中国経済は粘り腰を見せている。輸出(米ドル建て)前年比は4月+8.1%、5月+4.8%とアメリカの相互関税発表前の3月(+12.4%)からは伸びが鈍化したものの、堅調を維持している。4、5月合計のアメリカ向け輸出は前年比▲(マイナス)28%と、駆け込みの反動から大幅に下落したが、今やアメリカ向け輸出の2倍近い規模であるASEAN(東南アジア諸国連合)向け輸出が同+18%と伸びた。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD