加入したら自民党応援?医師会の知られざる裏側 年会費は42万円!所属のメリットとデメリット

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医師会に入るためには、千葉市医師会・千葉県医師会・日本医師会の3つすべてに入らなければならない。さらに日本医師連盟にも加入する必要がある。この医師連盟が、まさに日本医師会の理念を具現化する政治連盟である。これらの団体に加入するためには、かなり高額な年会費を支払う必要がある。合計でなんと年間42万円。では、そのメリットは?

一番は情報である。毎週のように医療情報がファックスで流れてくる。特にコロナ禍になってからは、新型コロナに関する最新の情報がどんどん届く。医療従事者は優先的に新型コロナワクチンを接種してもらえるが、その手順も教えてもらえる。マスクや防護服の配給もある。コロナ第一波のときにこれは本当に助かった。あの頃は、われわれでもマスクを入手できなかった。

情報の伝達にはもう1つの流れがある。それは千葉市医師会の中の小児科医で作る小児科医会のメーリングリスト(ML)だ。MLには、リアルタイムで届く患者情報がある。たとえば、〇〇区の△△幼稚園でインフルエンザの患者が1名でも出ると、それが情報としてすぐに伝わってくる。

「あ、流行が始まったな」と思えば、発熱の子が来院すると症状がきつくなくてもインフルエンザの検査をやったりする。胃腸炎の流行とかマイコプラズマ肺炎の流行などもすぐに分かる。

診断や治療法をめぐってMLで相談することもある。医師会に入っていなかったら本当に一人ぼっちになるのだ。欲を言えば、このMLでもうちょっと趣味の話とかができればいいのだが、そういう砕けた話題はほとんど出ない。もっと軽くてもいいのにと思う。

ワクチンの定期接種

以上、メリットについて書いたが、これくらいでは加入しない医師が10%くらいいても当然かもしれない。ぼくの友人は関東のある場所で眼科クリニックを経営しているが、開院と同時に入った医師会を途中でやめてしまった。それは以下のような事情による。

医師会には、いろいろな役職がある。もちろんトップは医師会長だが、地道な仕事としては地区の1年限りの世話人などだ。医師会の運営のために世話人が集まって会議をしたりする。ところがこうした活動は手弁当で、けっこう時間を取られる。

ぼくの友人は夜遅くまで会議でまとめた内容を、医師会の上の方の人間からの鶴の一声でひっくり返されて、こうした仕事がすっかりイヤになってしまったそうだ。

だが、小児科医の場合は事情が異なる。医師会を抜けるという選択肢はない。それはワクチンの定期接種のためだ。

千葉市の場合、ワクチン定期接種を千葉市医師会に委託している。したがって、千葉市医師会に所属していないと、ワクチンを打つことができない。ワクチンを打たなければ、それはもはや小児科医とは言えない。

それにはっきり言って、ワクチン接種はクリニックを運営する上での経営的な柱である。つまり、小児科医で医師会に加入していない人はいないはずである。

こういうシステムが、法的に完全に適正なのかぼくにはよく分からない。「医師会に入っていなくても、ワクチンを接種できるべきだ。打てる権利を独占しているのはおかしい」という意見を言う開業医もいる。

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