大晦日「孤独のグルメ」他局を圧倒できる納得の訳 テレビ東京の全時間帯グルメ戦略を担う切り札に
たとえば、昨春の番組改編キャッチフレーズは「テレ東の必殺技 アニメ・グルメ・ドラマ多メ」でしたし、前述したグルメキャンペーン“食べ東”のときも「日本で一番グルメ番組を作るテレビ局」「開局以来、ずっと食べてばかり」というコメントを発信していました。民放主要4局を向こうにまわし、「トップテーマであるグルメはウチの局がもらった」と宣言する自信としたたかさを見せていたのです。
テレビ東京が局員、予算、ネット局などのスケールで勝る主要4局を凌駕できたのは、「孤独のグルメ」のスタートから約10年の年月をかけた地道な積み重ねの賜物でしょう。少し見方を変えると、深夜帯のドラマできっかけを見いだし、そこで実績と信頼をつかんだあとにゴールデン・プライム、さらに昼や夕方にもアプローチしていく……。そんなステップアップのルートも主要4局では考えづらいテレビ東京らしさを感じさせられます。
“孤食”が尊重されるように
最後に話を「孤独のグルメ」に戻すと、同作の強みはテレビ東京の利益にとどまりません。実際、地方をフィーチャーする出張編などでは観光客を引きつける地域活性化に貢献していますし、全国の飲食店や交通機関、宿泊施設、自治体などから「番組を誘致したい」という声が寄せられているようです。
もう1つあげておきたいのは、とかくネガティブなイメージで語られがちだった“孤食”が「孤独のグルメ」によって尊重されるようになったこと。老若男女を問わず、「1人でも食事を楽しめる」。さらに「1人だからこそ楽しい」というイメージすら広がったことで、「生きやすくなった」という声も見かけるなど、多様性の尊重が叫ばれる現代にフィットしたドラマなのでしょう。
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