少子化議論なぜか欠ける「婚姻減・少母化」の視点 「20代で子のいる家族」が2000年境に減った背景

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20代で家族(夫婦と子世帯)となっている人数の長期推移を見ればより明らかです。

1980年代から2000年まではほとんど変わらず推移していますが、2005年以降から急激に減少しはじめ、最大値であった2000年と比較すると約50%の減少です。20代のうちに結婚して家族となる人数が半分になってしまっているのだから、少子化になるのは当然です。

「晩婚化」のせいではない

これを「晩婚化のせい」などと適当なことを言ってはいけません。2021年の段階でも29歳以下の初婚の割合は男でも53%、女では63%もあります。半分以上は20代で初婚しているわけです。

しかも、『「若者の非婚化」を後押しする日本の絶望未来』の記事で解説した通り、実情は晩婚化などではなく、起きているのは「結婚の後ろ倒しによる結果的非婚化」だからです。言い換えれば、「若者が若者のうちに結婚してもいいと思えなくなったがゆえの婚姻減少」なのです。

なぜ、20代のうちに結婚に踏み切れないかは、20代の家族の減少が起きたタイミングとあわせて考えれば想像がつくでしょう。2000年代前半は、ちょうど就職氷河期と呼ばれる時代でした。

希望する会社への就職ができなかった若者が大勢発生し、運よく入れた会社においても給料が上がらないという憂き目にあいます。その後もリーマンショックなどが発生し、「25年給料の上がらない時代」において、もっとも割を食ったのが20代の若者たちです。

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