少子化議論なぜか欠ける「婚姻減・少母化」の視点 「20代で子のいる家族」が2000年境に減った背景

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1985年の出生数は143万人、2020年は84万人なので出生数も約41%減になっていますが、49歳までの夫婦と子世帯を分母とした「出生対象世帯あたり出生数」を計算すると、1985年から2020年にかけてほぼ変わりなく推移しています。

合計特殊出生率ばかりが取りざたされますが、この指標は未婚が多い日本においてあまり意味をなしません。対象は15~49歳の女性ですが、その中には未婚者も離婚者も含みます。

有配偶者だけを分母とし、嫡出子だけを分子とする有配偶出生率という指標もありますが、この「出生対象世帯あたり出生数」とは、少なくとも1人の子がいる家族がどれだけ出生しているかの目安となるもので、いわば「家族の出産力」といえるものです。

出生数減少の根因

要するに、これは結婚して夫婦となった場合の出生数は40年前とほとんど変わっていないことになります。つまり、出生数が減るのは、婚姻減であり、少母化であり、家族の減少によるものです。

よくよく考えれば当たり前ですが、婚外子の極端に少ない日本においては、家族が作られなければ、子どもの数が増える道理がありません。しかも、それは、40歳をすぎてからの結婚では間に合いません。

個人のしあわせとしての晩婚は結構ですが、物理的に出産年齢は限られています。つまり、若者が若者のうちに結婚できないからこそのこの「失われた家族」という現象が起きているわけです。

次ページ20代で「夫婦と子世帯」になる人数はグッと減少
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