採用解禁「8月ルール」は機能するはずがない 法的拘束は、企業にも学生にもデメリット

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「もし、就職活動の解禁ルールに関する法律ができるとすれば、その立法趣旨は、端的にいえば、大学生が学業に専念できるようにすることでしょう。

しかし、法律による規制となると、企業からすれば、いつ、どんな人材を、何人採用するかといった『採用の自由』が制限されることになります。また、学生からすれば、職業選択の自由の一環としての『就職活動の自由』が制限されることになります」

企業と学生のどちらにとっても、解禁ルールを法律で規制することには、デメリットがありそうだ。

ルールとして機能していない?

「ましてや、罰則も伴うとなると、過度な制限として、そのような法律自体が憲法違反とされる可能性があります。そのため、罰則を伴う法規制まで行うのは難しいと思われます」

大部弁護士は「そういう意味で、国が経済団体に自主規制を促すという現状のやり方は、人権制限に配慮した苦肉の策でしょう」と指摘する。とはいえ、現状では半数以上の企業が、面接開始の時期や内定・内々定を出す時期のルールを守る気がないようだ。もはや、ルールとして機能していないのではないか。

「こうしたルール違反が起きるのは、やはりルールで定めたスケジュールに無理があるからとしか、言いようがありません。

無理な要請をしても聞き入れられないのは、自然の法理です。政府としては、もう少し段階を経て、企業の理解を得ながら、徐々に要求レベルに近づける要請をしていくしかないでしょう」

大部弁護士はこのように述べていた。

大部 博之(おおべ・ひろゆき)弁護士
2006年弁護士登録。東京大学法学部卒。成城大学法学部講師。経済産業省後援ドリームゲートアドバイザー。起業支援、事業再生も含む企業法務全般から、一般民事・刑事まで広く扱う。
事務所名:小笠原六川国際総合法律事務所

 

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