日銀「事実上の利上げ」の先に待つ4つのシナリオ 「金利なき世界」から金利のある未来へと転換

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たとえばアメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)は金利を引き上げても大きな混乱が起きないように、市場に前もってヒントを与え続けてきた。ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁も、ことあるごとに3カ月先、半年先の見通しを述べている。黒田総裁にそういった意識がなぜないのか、疑問だ。

2015年にスイス国立銀行が為替政策を突然変更したときに、スイスフランが大きく乱高下し、ヘッジファンドがいくつか閉鎖に追い込まれたことがある。日銀には、日本の銀行を守るという使命がある。今回のサプライズで銀行は保有する債券価格の下落リスクに直面することになった。「バズーカ砲」と呼ばれた異次元の金融緩和導入時も唐突な発表で市場を驚かせた。

市場の圧力に負けた?

③ 国債市場の存続不安に日銀が負けた?

昔から金融市場には「中央銀行には逆らうな」という格言があるが、今回はマーケットが日銀に勝ったと言っていいだろう。ここ数カ月、日本の10年物国債の取引は「取引成立せず」が続いていた。10年物国債に限っては、日銀が金利の上限を0.25%と定めていたために、日銀しか国債の買い手がいなくなり、その反動として8年や9年物国債に対して、10年物の金利が低いままとなり、歪んだ形になってしまっていた。

④ 背景に政治の影響? 日銀に独立性はあるのか?

今回の政策修正の背景には、アベノミクスの継続にこだわる勢力と終わらせたい勢力との力関係があったのではないか。安倍元総理なき後のアベノミクスの行方がどうなるのか。もともとは安倍政権と黒田日銀総裁との共同声明からスタートしたアベノミクスだが、今回もまた政治の力が背景に見え隠れする。

アメリカのFRBは、トランプ政権であろうが、バイデン政権であろうが、政権によって金融政策の姿勢を変えることはなかった。中央銀行には常に独立性が求められる――という考え方は国際的には常識だが、日本の中央銀行にはその独立性に疑問が残る。

⑤ 次は「0.75%」か? マーケットの攻撃は続く?

日銀の金融政策決定会合後の記者会見でも質問が飛んでいたが、「金利引き上げのたびに、市場が次の利上げを催促するのではないか」という疑問がある。黒田総裁は「そのようなことにはならない」と否定したが、その根拠はまるでない。

ウォール・ストリート・ジャーナルが「日銀が市場に屈した日」(12月21日配信)の中で「日銀は、いずれすべての債券を購入するか、白旗を掲げるかの選択を迫られることになりそうだ」と締めくくっている。一度市場に屈服してしまった中央銀行は、次も屈服を余儀なくされる。状況はやや異なるが、イギリスの中央銀行であった「イングランド銀行」とヘッジファンドの著名投資家「ジョージ・ソロス」が戦った1992年のときも、結局は中央銀行が敗北してイギリス・ポンドを引き下げざるを得なくなった。

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