日銀「事実上の利上げ」の先に待つ4つのシナリオ 「金利なき世界」から金利のある未来へと転換

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そもそも日銀のYCCは、かつてアメリカのFRBが実施した1940年代のYCCをモデルにしていると言われているが、「中央銀行が市場をコントロールするには、債券を買い続ける以外に方法がない」ことはすでに歴史が証明している。FRBも最終的には、1951年にYCCの終了に追い込まれている。日本のインフレが続く限り、マーケットは日銀の金利を引き上げようとし、国債を売り続けて金利の上昇にチャレンジしてくるはずだ。

FRBのYCCは、1942年から1951年にかけて第2次世界大戦に必要だった莫大な戦費を調達するものであり、現在日本が行っているような「デフレ脱却」を目的としたものではなかった。その内容も幅広い金利の管理であり、日銀のそれとはやや異なるものの、当時のアメリカのYCCは成功したという見方もある。しかし、FRB側からすると「政府に従属を強いられた苦難の9年間」というとらえ方もある(NRI、コラム「米国の経験に学ぶ日銀イールドカーブ・コントロールの構造的欠点」、2022年7月21日配信)。「中央銀行の独立性を阻害するもの」と考える歴史的評価のほうが多いようだ。

最終的には、当時のトルーマン大統領がマッケイブFRB議長に対して、「国債価格の暴落は、(当時敵対していたソ連の)スターリンが望んでいることに他ならない」という手紙を書いたことで、YCCが終了したと言われている(日本銀行「イールドカーブ・コントロールの歴史と理論」2017年1月11日より)。YCCの継続には、国債の暴落がつきものなのかもしれない。

「財政ファイナンス」のツケをどうするのか?

日銀のYCCは、とりあえず来年3月の黒田総裁の辞任までは継続される、とする見方が一般的だ。周知のように、日銀はYCC継続のために大量の国債を買い続けてきた。中央銀行が政府発行の国債を直接引き受ける「財政ファイナンス」と指摘され続けてきた。財政ファイナンスは、国債の貨幣化であり、法律で禁止されている。

実際に、日本銀行が12月19日に公表した資金循環統計(速報)によると、日銀が保有する国債保有比率は9月末時点で「50.26%」となり、初めて5割を超えている。日本政府が発行している国債の半分を、日本銀行が保有していることを示している。アベノミクスの大きな副作用といっていいだろう。

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