東洋経済新報社では全上場会社の政策保有株の保有状況を収集している。今回は株持ち企業ランキングとして、各社の政策保有株の貸借対照表の計上額が多い順にランキングした結果を紹介したい。データは2022年11月末までに公表の2020年4月期から2022年3月期までの有価証券報告書から取得した。ランキング表には保有銘柄数や前期の保有銘柄数や前年比率も併載した。
ホールディングス制を採用する会社は、傘下の連結子会社が保有する銘柄数を開示している場合には、ホールディングと連結子会社の合計で集計した。貸借対照表計上額で1兆円以上の政策保有株式を保有する企業が10社、1000億円以上の企業は90社あった。
ランキング上位には金融機関が並ぶ
ランキングの上位にはメガバンクや大手生損保などの金融機関が並ぶ。1位は三菱UFJフィナンシャル・グループ、2位は三井住友フィナンシャルグループだった。金融機関の特徴は、その取引先の多さから保有銘柄数が多く、1社当たり保有額(貸借対照表計上額)は小さめなことだ。
一般事業会社の中で最も保有額が大きかったのはトヨタ自動車で、ランキングでは3位だった。保有銘柄数では148銘柄と少ないものの貸借対照表計上額は3兆円を超える。トヨタ自動車の保有銘柄には資本提携先のスズキやマツダの保有株が含まれる。
京セラは70銘柄の保有で1兆4512億円の貸借対照表計上額を有し、ランキングで7位に入った。創業者の故稲盛和夫氏がKDDIに合併されたDDIの設立に関わったことからKDDIの第2位の株主であるほか、再建に関わった日本航空でも第3位の株主となっている。
このように一般事業会社は保有銘柄数が少なくても、関係性のあるグループや関連企業間の株式保有規模が大きいため、貸借対照表計上額でみると多くなる。
政策保有株は全体として減少傾向にある。足下ではTOPIXなどの株式指数で浮動株の算出方法の見直しが行われ、関係性の強い企業間で持ち合う政策保有株は固定株とみなすようになった。この変更に伴い、自社の浮動株比率を高めるために企業間で持ち合いを解消する動きも高まっている。依然として上位企業の保有銘柄数や貸借対照表計上額は大きいものの、保有銘柄数は減少傾向がしばらく続くことが予想される。
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