「"40代おじさん"を煙たがる人」に欠けている視点 定点調査から分析「実は家族思いでモラリスト」

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技術の力や生活のデジタル化への関心が薄く、「アナログ」な意識が強い傾向が見られます。例えば、「人間の力より技術の力を重視する」人の割合は、男性平均だと42.5%でした。40代おじさんは6.0ポイント下回っており、特に男性の中においてはアナログぶりが目立ちます。

AIのレコメンドよりも自分の勘を信じてみたり、打ち合わせもリモートより対面の方が実りが多いと感じたり。手足を動かして、自ら汗をかいて実感することで自分の納得感を得る。それ自体は悪いことではありませんが、いき過ぎればオールドスタイルな考え方、働き方と思われかねません……。

ましてや、40代おじさんは「人は、ほめるよりもしかった方がのびると思う」人が相対的に多いまま。自分の経験や実感だけを物差しにして他人を叱ることのないように自戒が必要です。

・人は、ほめるよりもしかった方がのびると思う
13.7%(全体1位) 全体平均:9.0% *2020年17.5%(全体1位)

ちなみに、「人は、ほめるよりもしかった方がのびる」と思っている20代女性は、わずか2.6%でした。100人中2、3人! めちゃめちゃ少ないです。会社で20代の後輩女性と接する際には、お互い気を付けましょう。

同士たる「40代おじさん」に告ぐ

以上が「生活定点」2022年調査の結果を基にした、40代おじさんの特徴です。

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コロナ禍を脱しきっていない環境下での調査であり、揺り戻しがあって2年後にはまた以前のように戻ってしまうものもあるでしょうが、40代おじさんたち1人ひとりの変化が積み重なったからこそ得られた結果ですから。これには感慨深いものがあります。

ただ、私は自分自身がそんないいおじさんに変わった実感はありません。「こんな40代おじさんになっているはずじゃなかったんだけどなあ……」と省みる局面が幾度となくある40代人生を相変わらず送っていますし。

でも、だからこそ「なんでこんなことになるんだろう?」とデータをあさって、意識・行動、価値観について客観視してこられたのかもしれません。

読者の多くは、同士たる40代おじさんかと思います。データの中には耳が痛いものもあったはずですが、私たち40代おじさんの自己理解と自己革新につながればと、心を鬼にして取り上げました。結果、自分の耳に激痛が走っていますが、みなさんと共に成長していく所存です。傷をなめ合っていきましょう。

前沢 裕文 博報堂生活総合研究所・上席研究員/コピーライター

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まえざわ ひろふみ

2000年(株)博報堂入社。コーポレートコミュニケーション局(現PR局)、営業局、クリエイティブ局にて、PR発想を起点とした統合コミュニケーションの企画制作に携わり、2019年から現職。

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