「安保3文書」決定は台湾有事を煽る外交敗北だ 日本の衰退を加速させる一方の防衛費増額

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アメリカにとり、台湾と日本は対中抑止カードにすぎない。日本と台湾の軍事力を強化して対中挑発を続け、その過程で不測の事態が起きる恐れは否定できない。その場合、アメリカは中国との正面衝突を避け、ウクライナ同様「代理戦争」も選択肢として想定しているはずだ。

台湾有事でもアメリカ軍を戦場に送らず台湾に軍事支援する。兵士は傷つかず、軍産複合体は太る。中国と台湾、日本というアジア人同士を戦わせ、アメリカは自分の手を汚さずに済ませればベストであろう。それこそがバイデン政権の「グランドデザイン」であり、その先にあるのが日本の自主防衛だ。

日米同盟強化ばかりに血道をあげてきた岸田首相は2022年11月、習近平国家主席とようやく初対面会談にこぎつけた。台湾など安全保障問題での対立の溝は埋まらなかった。それはそうだろう、日米同盟強化と台湾有事に向けた軍事力増強をうたった安保3文書は、明らかな中国敵視政策だからだ。これを「外交敗北」というのだ。

今進めるべきなのは、中国脅威を煽って対中軍事力強化の弁解をすることではない。中国敵視をやめて、停止状態にある日中首脳交流を再開して信頼醸成を図ることが求められる。

岡田 充 ジャーナリスト

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おかだ たかし / Takashi Okada

1972年共同通信社に入社。香港、モスクワ、台北各支局長、編集委員、論説委員を経て、2008年から22年まで共同通信客員論説委員。著書に「中国と台湾対立と共存の両岸関係」「米中新冷戦の落とし穴」など。「岡田充の海峡両岸論」を連載中。

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