「安保3文書」決定は台湾有事を煽る外交敗北だ 日本の衰退を加速させる一方の防衛費増額

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バイデン戦略と日米同盟強化を振り返ると、アメリカの意図的挑発に対し中国が報復するという因果関係が浮上する。つまり中国側は「受け身」なのだ。アメリカの「意図的挑発」の具体的を挙げよう。

①金額、量ともに史上最大規模の台湾へ武器売却、②閣僚・高官を繰り返し台湾に派遣、③軍用機を台湾の空港に離発着、④アメリカ軍艦の台湾海峡の頻繁な航行、⑤アメリカ軍顧問団が台湾に入り台湾軍を訓練、などの挑発を仕掛けてきた。その狙いは「グローバルリーダー」としてのアメリカ一極覇権の復権である。

安保3文書は模範的回答だ。それは「台湾有事」を抑止するどころか、台湾海峡の緊張を高め、有事を招く恐れを増幅する。バイデンの対中挑発の性格を挙げれば、①中国を挑発し中国に競争するよう仕向ける、②中国に軍事的、政治的に「過剰対応」を引き出させる、③国内外で中国の威信や影響力を喪失させる、という「行動パターン」が読み取れる。

こうした挑発行動がなければ、「台湾有事切迫」は生まれなかったはずだ。台湾有事を「作られた危機」とみるのはそのためである。防衛省が人工知能(AI)技術を使い、交流サイト(SNS)で、台湾有事や防衛費増額について世論を誘導する工作を開始していることも報道されている。

「中国軍と戦う」反対が74%

安保3文書への反応はどうか。朝日新聞が2022年12月20日付で報じた世論調査によると、岸田支持率は31%にまで急落。敵基地攻撃能力の保有については「賛成」が56%と「反対」(38%)を上回る一方、防衛費を増やすための増税については66%が「反対」と「賛成」(29%)を上回った。「脅威」への対応には賛成だが、「懐を痛めたくない」という現実的反応だ。

「中国と戦争はしたくない」という本音を裏付ける調査もある。公益財団法人新聞通信調査会の世論調査によると、台湾有事に危機感を持つ割合は79・1%と約8割に上った。

しかし、中国が台湾を軍事侵攻した場合の日本の対応については、「自衛隊がアメリカ軍とともに中国軍と戦う」に賛成は 22.5%(「賛成」7.8%と「どちらかと言えば賛成」14.7%の計)に対し、「反対」は 74.2%(「反対」38.3%と「どちらかと言えば反対」35.9%の計)だった。中国軍と戦い日本が戦争に巻き込まれることは拒否するという、健全な反応だ。

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