紫式部「源氏物語」実は冒頭の場面がえげつない訳 帝に寵愛されるシンデレラガールも楽ではない

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京都市にある源氏物語の石像(写真:skipinof/PIXTA)
日本の古典文学というと、学校の授業で習う苦痛な古典文法、謎の助動詞活用、よくわからない和歌……といったネガティブなイメージを持っている人は少なくないかもしれませんが、その真の姿は「誰もがそのタイトルを知っている、メジャーなエンターテインメント」です。
学校の授業では教えてもらえない名著の面白さに迫る連載『明日の仕事に役立つ 教養としての「名著」』(毎週木曜日配信)の第12回は、2024年のNHK大河ドラマの主人公、紫式部の『源氏物語』について解説します。
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受験生のバイブル、漫画『あさきゆめみし』

紫式部のつづった大長編恋愛物語『源氏物語』とは、実際にはどんな話だったのだろうか。『源氏物語』、知ってるぞ、読んだことあるぞと言う人のなかには、実は「少女漫画の『あさきゆめみし』を全部読んで理解した方」も多いのではないだろうか。

『あさきゆめみし』は、大和和紀が『源氏物語』を描いた少女漫画である。大長編『源氏物語』54帖を漫画では単行本全13巻に収めきり、現在は累計発行部数1800万部にも及ぶという。ダイジェスト版ではあるが、かなり『源氏物語』を原文のイメージに忠実に漫画にしているので、いまだに古典の勉強と称して『あさきゆめみし』を読む受験生も多いらしい。かく言う私もその1人だ。

ちなみに大和和紀は大学の先生から「『あさきゆめみし』が連載されてから、学生たちの『源氏物語』理解が格段に上がったんですよ」と言われたこともあるらしい……。

しかしこの『あさきゆめみし』。よくできた漫画であるがゆえに、これが『源氏物語』なんだと思い込んで、原文を読んでみると、「あれ?」と思うことが多くなってしまう。実はさまざまな場面を加えたり削ったりしながら『あさきゆめみし』はできている。そう、原文『源氏物語』の穴をうまく埋めているのだ。

次ページ最初のヒロイン「桐壺更衣」の話を見ていくと…
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