鹿児島県民から愛される「フェリーうどん」の正体 ソウルフード「やぶ金のうどん」の凄い歴史
毎日の通勤・通学で過ごした時間も、思い返してみればしみじみと懐かしいもの。電車通学で見た車窓の風景、バスの中で聞いた音楽、同級生との会話、それぞれの人に懐かしい思い出の情景があることだろう。
鹿児島県では桜島と鹿児島市街地を結ぶ桜島フェリーが日々運航している。県の真ん中に錦江湾(鹿児島湾)を挟んで桜島がある地形的条件のため、観光だけでなく通勤や通学の日々の足にフェリーを利用している人たちがいる。平日118便、土日130便、24時間営業と活発に運航している欠かせないインフラである。
このフェリー内で提供されているのが「やぶ金」のうどん。船旅は片道15分と短いが、それでもフェリーに乗り込んだら急いで食べに行く人が絶えない鹿児島のソウルフード的存在である。昭和56年に始まり、長きにわたってフェリーで移動する人たちのお腹を満たし続けてきた。
桜島フェリーのうどんはいつどのように始まったのか、やぶ金を運営する新徳産業の代表取締役社長・新徳慎さんに取材した。
創業から変わらない出汁の味
まずはうどんから紹介しよう。桜島フェリー内にある「やぶ金」に入ると、お湯や出汁の蒸気に満ちていてほっとくつろいだ心持ちになる。甘い出汁の香りに期待が膨らむ。カウンター越しに注文すると、うどんを湯がき、温めたつゆをお椀に注ぎ、具材をのせる作業を流れるような動きで行ってくれる。提供までわずか30秒程度。これを店長1人で切り盛りしている。
創業時からある一番の定番メニューは「かけうどん」500円。さつま揚げ、ネギ、あげ玉がのったシンプルなうどんだ。サイドメニューに「おにぎり」「いなり」200円があって、うどんと合わせて頼む人が多い。「天ぷらうどん」600円や「天玉うどん」650円も人気だ。
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