米当局が警鐘「レーシック後遺症リスク」の具体例 視覚異常やドライアイ、うつ状態に陥る場合も
コーファーさんは、FDAの新たな警告はレーシック手術を考えている人々にとって極めて重要な情報になると付け加える。「現状だと、患者がインターネット検索でレーシック手術に関する警告を見つけたとしても、結果に満足できなかった人間が1人か2人、わめいているだけだろうと考えてしまう。しかし、あのFDAの警告となれば重みが違う」。
FDAは、患者向けに「意思決定チェックリスト」を使用することを提案している。チェックリストは手術の内容を記したもので、そこには角膜の組織をレーザーで「蒸発」させることや、切開のダメージから角膜の神経が「完全には回復しない場合がある」こと、「その結果ドライアイおよび/または慢性の眼痛になる」といった記述も含まれている。
FDAのガイドライン草案によると、角膜は手術の傷が完全に治癒したとしても手術前の強度に戻ることはない。
FDAに寄せられたコメントの中には、レーシック手術によって人生が変わってしまうほどの後遺症や視界の悪化に苦しんでいるという患者の声もあれば、手術結果に大満足しているという声もあった。
視力検査を行って眼鏡やコンタクトレンズを処方する検眼士の職業団体は、FDAの草案を高く評価。妊娠中の患者や不規則な乱視の患者に対するレーシック手術の危険性について、さらなる警告を加えることを提案した。
約半数が視界異常
FDA草案の根拠となっているのは、レーシック手術の結果を調べた2017年の調査結果だ。同調査はFDA、アメリカ国立眼研究所、国防総省が協力して、レーシック手術の前と後で視覚症状をアセスメントしたもの。FDAはさらに、2013〜2018年に発表された査読済み論文のメタ解析も独自に行った。
前者の調査からは、レーシック手術後3カ月の時点で、手術前には視覚症状がなかった患者の半分近くが、手術後に新たな視覚異常を初めて覚えるようになったことが明らかとなった。最も多かったのはハロー、つまり光の周りに放射状の光の筋や輪が見える現象だった。また、3分の1近い患者が手術後3カ月でドライアイを訴えていた。