米当局が警鐘「レーシック後遺症リスク」の具体例 視覚異常やドライアイ、うつ状態に陥る場合も
クリニックや医療機器メーカーを代表する団体は、医療活動への干渉だとして反発。FDAの情報は一方的かつ患者を不必要に怖がらせるものだと非難している。眼科医の多くは、レーシック手術は安全であり、深刻な後遺症が長く続くことは珍しいと話す。
「私たちはバランスを求めているだけだ」。アメリカ白内障屈折矯正外科手術学会の次期副会長、ヴァンス・トンプソン医師は「ガイダンスはレーシック手術の危険と後遺症ばかりを強調し、手術のメリットにまったく言及していない。トーンは極めてネガティブで、患者に恐怖を与えるものとなっている」と話す。
FDAが危険ばかりを強調する理由
だが、FDAのガイダンス草案によると、少人数ではあるがレーシック手術を受けた患者の中には、後遺症のために重度のうつ病になり、自殺まで考えた人もいる。糖尿病など一部の慢性疾患のある患者や特定の医薬品を使用している患者は、思わしくない手術結果となる危険にさらされる可能性があるとも記されている。
FDAは10年以上を費やしてガイダンスの作成を進めている。そこでは、レーシック手術は眼鏡への依存を減らすために行われるということも手短に記されているものの、29ページにわたるガイダンス草案のほとんどはリスクに関するものだ。
クリニックや医療機器メーカーは、草案の完全な取り下げを求めている。ただ、レーシック手術の問題点を指摘してきた人々は、リスクに焦点を絞るのは適切だと話す。というのは、レーシック手術は病気の治療のためではなく、健康な眼に対して行われるものだからだ。
「この瞬間を14年間、待っていた」。レーシック手術で見え方がおかしくなり慢性の眼痛が残ったという証言を2008年と2018年にFDAに対して行ったフロリダ在住の女性、ポーラ・コーファーさんはそう話した。