米当局が警鐘「レーシック後遺症リスク」の具体例 視覚異常やドライアイ、うつ状態に陥る場合も

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FDAが独自に行った分析では、レーシック手術後6カ月の時点で、27%の患者がドライアイを訴えており、2%の患者は通常の日常活動に支障が出るほどの問題を抱えていたことがわかった。

FDAによると、手術後5年の時点でも、17%は依然として目薬が必要な状態で、2%は引き続き視覚異常に悩まされ、8%は夜間の運転が困難な状況が続いていた。

FDAの当局者は、ガイダンスの最終版がいつ完成するのかはわからないと語った。FDAは手術前に患者に警告を確認させることを義務付ける方針ではないため、レーシック手術に批判的な人々は、多くの患者がこうした警告を目にする機会はもたらされないのではないかと懸念している。

それでもリスクの周知は徹底されないおそれ

FDAのガイダンスとチェックリストは、「(医療機器)メーカーが手術前に医師と患者に提供すべき」もので、手術のリスクと利点についての医師と患者の議論を「深める」のに使用されるとされている。

ただ、こうした患者との情報確認は勧告でしかないと、FDAの当局者らは認めている。医療製品などの消費者向け製品に関する研究を分析する非営利のシンクタンク、国民健康研究センターのダイアナ・ザッカーマン所長は、これは問題だと話す。

「問うべきは、FDAが患者に対して実際に有意義な変化をもたらそうとしているのかどうかだ」。ザッカーマン氏は「FDAがそうした方向で動いているとは思わない」と語る。

同氏が懸念するのは、患者が手術予定日に来院したときや「返金不能の頭金を払った後」に、初めてチェックリストを見せられる展開だ。「チェックリストの確認は頭金を支払う前の段階で、遅くとも手術予定日の1週間前には行うべきだと考えている」と、ザッカーマン氏は話した。

(執筆:Roni Caryn Rabin記者)
(C)2022 The New York Times

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