いい形?「岸田首相」政権危機なのに自信満々な訳 いまだ難題だらけ、政権復帰10年の12月26日に注目

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確かに、旧統一教会との相次ぐ“癒着”発覚による10月24日の山際大志郎前経済再生担当相辞任から始まった閣僚交代は、同11日に「死刑のハンコ」発言で葉梨康弘前法相、同20日に政治資金疑惑で寺田稔前総務相が、それぞれ辞意表明に追い込まれ、この“辞任ドミノ”が内閣支持率を急落させ、政権危機を深刻化させた。

しかも、「辞任(更迭)」判断も含めすべての対応が後手にまわった結果、岸田首相は「任命責任だけでなく首相の資質欠如」との猛批判にさらされ、野党は「スリーアウトでチェンジだ」(共産党の小池晃書記局長)と勢いづいた。

これに伴い国会運営は迷走し、自民執行部は審議日程などでの野党要求に相次ぐ譲歩を強いられた。その時点で、政府与党幹部は「このままでは政権が泥沼に沈む」(公明幹部)と危機感を募らせ、提出法案処理のための1週間程度の会期延長を覚悟した。

野党抱き込みの「瀬戸際戦術」が成功

とくに、寺田前総務相と同様に説明困難な政治資金疑惑を抱える秋葉賢也復興相は、野党の格好の標的となり、「4人目の辞任必至」の状況が続いた。そこで岸田首相が決意したのが、野党への“抱きつき作戦”。

国民の大多数が期待する旧統一教会への規制強化について、野党の要求を大胆に受け入れることで臨時国会での成立につなげ、併せて物価高騰と経済再生を狙った超大型補正予算の早期成立も狙った“瀬戸際戦術”だった。

もともと岸田首相や自民執行部は、「信教の自由を侵害しかねない」などの理由で、被害者救済法案の決着は通常国会に先送りする考えだった。しかし、「背に腹は代えられない」と方針転換を決意、内閣法制局も動員して法案条文をまとめ、野党の意見も受け入れることで、今国会成立に猛進した。

これに対し、野党も国民民主を先頭に、維新、立憲両党も法案成立に前向きとならざるを得ず、いったん不祥事追及の手を緩めての法案審議優先に転じた。これに乗じて、自民は「当初会期内成立」を持ち掛け、極めて異例の会期末土曜日審議という奇手で、救済法成立にこぎつけた。

ただ、国民世論に配慮して救済法や補正の早期成立に応じた野党も、政権攻撃の材料は温存。次期通常国会に向け、閉会中審査などで疑惑を説明できない秋葉氏だけでなく、杉田水脈総務政務官による過去の差別的発言や他の副大臣や政務官の醜聞を追及し続ける構えだ。

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