「プレミアム付商品券」に飛びつく人に欠けた視点 数学的視点で本当に「お得」なのか見極める

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では、人気の「プレミアム付き商品券」は本当にお得なのか? 数学的視点から探っていきましょう。

まずは①割引と②ポイント還元のお得度を比較します。1万円の商品が60%割引になった場合(A)と、1万円を購入して60%分のプレミアムが付いた場合(B)を想定します。下記の図を見てください。

 

(出所)『世界が面白くなる!身の回りの数学』より

Aの場合、支払う価格は4000円です。Bの場合は「1万円支払うことで、6000円分が還元される」ことになります。これは「1万6000円の商品券が6000円の割引になり、1万円で購入できる」と「割引」を使って言い換えることができます。Bの割引率を計算すると、6000÷16000=0.375で37.5%(それに対しAの割引率は60%)だとわかります。

このように支払った価格に注目して比較すると、①割引と②ポイント還元では、お得度に差があることがわかります。上記ケースでは、割引率で考えると圧倒的に①割引がお得です。もっと極端な例で考えてみると、両者の違いがより明確になります。

①割引と②ポイント還元の違い

100%割引(C)と100%分のプレミアム付き商品券(D)のケースで考えてみましょう。Cの場合は、「無料」を意味します。しかしDの場合は、商品を買わないといけないので無料にはなりません。

1万円の商品券に100%のプレミアムが付くと、2万円の商品を1万円で購入したと言い換えられます。これは「割引」で考えると「半額」(=50%割引)です。同じ100%を謳っていても割引率が異なるということです。

続いて、③「〇人に1人は無料」についてお話ししましょう。もしかしたら、皆さんはこれが一番お得だと思っているかもしれませんが、割引率で考えるとそうとは限りません。

「10人に1人は無料」と謳っていたとします。これは1人あたりの割引を計算すると、わずか1割(10%)です。お得なキャンペーンがいろいろあるなかで、「1割」という表記では注目されません。だからといって、たとえば6割引の商品券と同じにするには、「5人に3人を無料」としなければなりません。しかし、このような高確率のキャンペーンを見たことがある人は、おそらくいないでしょう。

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