"お茶くみ"残る地方都市「シングルマザー」の苦悩 元夫からの養育費は支払われず、生活は困窮
また、事務系の職に就けても、契約社員や派遣社員がほとんど。正社員になれる人は、看護師や介護職などの有資格者や、スキルや経験がある人に限られたケースだという。
「シングルマザーの中には、障害児を抱えている人もいます。また、離婚後、子どもが不登校になることも多いんです。そのような女性は、働きに出られなくなったり、遅刻や欠勤が多くなったりします。勤め先の業績が悪くなると、真っ先に首を切られてしまうんです」
離婚した女性に対する偏見も根強い。「自分の勝手で離婚した」「女性の我慢が足りない」などと言われがちだ。
そこへ追い打ちをかけたのがコロナ禍とそれに続く物価高。同アンケートによると、6割以上の世帯が「仕事や収入が減った」、8割の世帯が「支出が増えた」、9割以上の世帯が「生活が苦しくなった」と答えている。
アンケートのコメント欄には「自分の食事回数や量を減らした」「肉は買わない」「髪はセルフカットで化粧品は買わない」「お風呂は2~3日に一度シャワーのみ」などといった悲痛な言葉が並ぶ。
養育費を払わないのに、子ども会いたがる元夫
愛知県母子寡婦福祉連合会では、養育費の相談や書類作成の手伝いなどの支援も行っている。
「養育費を受け取れれば、お母さんの負担はかなり減ります。でも、厚生労働省の調査(平成28年度全国母子世帯等調査)によると、養育費がきちんと支払われているのは、たった2割(24.3%)なんです。一度ももらったことがないという人は6割もいます。もらっていても月5,000円という世帯もあるんです」
養育費を払いたくてもお金がなくて払えないという父親も、もちろんいる。しかし、お金がないわけではない人も多い。中小企業の社長が、養育費の支払い義務から逃れるために、自分の報酬を会長である自身の父親に振り替えることもあったという。
また、支払いから逃れるために転職するケースも少なくないそうだ。養育費の強制執行は銀行口座や勤務先に行う。相手が転職してしまうと、職場を特定するところから、また一からやり直さなくてはならない。