岡田武史氏が4年後へ「個の突き抜け」求めるワケ ワールドカップでもう1段上にいくのに必要なこと

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世界に通用する才能の持ち主でも「フォア・ザ・チーム」を貫けない選手は日本では使いづらい。自分にも、才能を認めながら外した選手はいる。今回も同じように感じ、水が漏れてしまった場面もある。だから組織優先…のままでいいのだろうか。ブラジルはネイマールが守備するし、時にサボっても周りがその個を生かす。モドリッチやフランスの「戦術エムバペ」を見れば明らかだが、際立つ個は強烈。日本も、多少は献身性が足りなくても、組織の枠を超えた選手が出てくる瞬間を待つ我慢が必要なのかもしれない。

日本人だから、ひた向きに頑張れる、まとまれる。ドーハでも海外の友人から高く評価されたが、一方で才能ある選手がチャンスを得られない面があるかもしれない。日本の特長が個の良さを消してしまいはしないか。チームに貢献しながらも殻を破れる選手の養成か、天性を尊重してもチームとしては負けない組織を作るか。いずれにしても、今大会で日本の層の厚さは示せた。レンガで言えば横に広がった。次は高く積み上げていくことが大切だ。ここから1ランク上の選手が出てこないといけない。

その中で三笘は世界に通用する個だ。研究されながら、中に切り込んで放ったミドルには驚かされた。間違いなく有力候補。全4試合で先発起用された鎌田もそうだし、個人初のW杯で悔しく痛い目に遭った選手たちの台頭に期待したい。

海外でプレー経験ある指導者が必要

さらに言えば、海外プレー経験がある選手が指導者として戻る時が、次の大きな転換期かもしれない。俺も森保も選手時代は海外経験がない。日本人の良さ、勇敢さを生かすチームは構築できるが、外国人感覚を持つ指導者が出てくれば、もっと進歩する可能性がある。例えば、前主将の長谷部はドイツで指導者の勉強も並行している。が、まだ先の話。森保と長谷部の間の世代で海外経験ある指導者が出てこないと。これも課題の1つと思っている。

森保には感謝したい。五輪監督も含めれば5年間「クレージージョブ」に耐えてW杯で結果を出した。すごいことだ。彼のおかげで日本人指導者のステータスが世界の中で上がった。よく頑張った。サッカーを知らない人がサッカーを見る機会が減って懸念していた中、W杯という好機でドイツとスペインに勝ってくれたことは大きい。もし散々な成績だったら日本サッカー界の未来は大変なことになっていた。森保に特別ボーナス出したいくらいだ。

ただ、初のベスト8には到達できなかった。事実は受け止める。しかし悲観はしていないよ。以前は「無理」だった大国との試合に「やれる」感覚で勝てたんだ。確実に進歩している。何度も言うが、世界でここまで急激に強くなった国はない。また4年は長いが、再出発してほしい。新たな景色を目指して。(元日本代表監督=98年フランス大会、10年南アフリカ大会)

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