思考力が「ある人」「ない人」なにがどう違うのか VUCA時代では問題解決より「問題発見」が重要だ
これらに挟まれた「具体と抽象」「論理思考力」「直観力」はちょうどこれらの中間に位置し、先天的・性格的な部分もあれば、後天的にトレーニングが可能な部分もあります。例えば「論理思考力」というのは、いわゆる「理屈っぽい」人のほうが生まれつき向いていると言えるし、逆に「直観力」というのは「なぜそれがよいのか」をいちいち理屈で説明しなくても先に動ける人のほうが発揮しやすいとも言えるでしょう。
具体と抽象を往復する力、特に抽象化能力もある程度は先天的な要素も影響します。一番わかりやすいのは、学生時代に数学を好きか嫌いかが分かれたのがその例です。学問というのはレベルが上がれば上がるほど抽象度が上がってきます。特に算数から数学へと変わっていくその進化(深化)過程が、わかりやすい抽象度の上がり方です。その抽象度の高さが愉快な人と不快な人がいるというのが、その「向き不向き」のバロメーターです。
それでは上下の軸の説明が済んだところで、思考力を構成する要素を簡単に解説していきましょう。
思考力を構成する要素
・知的好奇心
未知のもの、新しいものへの志向の強さです。迷ったら知っているほうに進むのか、知らないほうに進むのか。「いつものお店でいつものメニューを注文する」のが心地よいのか、「毎日新しいメニューに挑戦する」のが心地よいのか。「前例がある」ものに対して「だからやらない」のか、「だからやる」のか。これが知的好奇心の強さを表します。
先の「知識力と思考力」の違いにも通じるものがあり、「知っていること」「過去に誰かがまとめたこと」を志向して、過去の前例や人物の言葉を引用することに喜びを感じるのか、あくまでも自分オリジナルのアイデアにこだわるのか、これが思考力への志向を端的に表します。
・疑う心
知的好奇心は「疑う心」ともつながってきます(逆向きもしかりです)。他人に言われたことや、権威ある専門家の意見をそのままうのみにするのではなく、自分なりの意見を持つことです。あるいは、顧客に言われたことをそのまま実行するのではなく(値段が高いと言われたから値下げする、時間が長すぎると言われたから短くするなど)、自分なりにその問題を定義しなおしてみるといったことが挙げられます。
疑う心が欠けやすくなる─―これも知識力に優れた人が陥りやすいわなの1つです。やたらに「過去の賢人」の引用ばかりで一見賢そうに見える人も、実は疑う心がなければほとんどが「単なる受け売り」になってしまうのです。
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