思考力が「ある人」「ない人」なにがどう違うのか VUCA時代では問題解決より「問題発見」が重要だ

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このように、思考力はおおむね川上側の問題発見のフェーズで必要とされることが多く、それはVUCAやDXの時代のニーズとは合致します。もちろん川下側でも思考力が求められる場面もありますが、それは例えば蓄積されたデータを使って分析をすることで、川上において立てた仮説を検証するような場面です。「論理と直観」の比較で言えば、論理というのは決定論と相性がよい(いずれもうまくいくための法則や方程式のようなものが存在する)ために、特に川下側の問題解決において出番が多くなると言えるでしょう。思考力を発揮するためには対象とする仕事の性質を見極めて、それに応じて必要なやり方を適用していくことが重要となるのです。

思考力には構造がある

ここで、「思考力の全体像」について解説しましょう。

思考力の立体図の構成(図4)とその意味するところについて解説します。思考力の立体図を掲載します。

図4:思考力の立体図(出所:『思考力の地図 論理とひらめきを使いこなせる頭のつくり方』)

まず思考力の特徴ですが、建物と同様に基礎から説明していきます。下のレイヤー(層)にある「知的好奇心・疑う心」や「具体と抽象」は、すべての思考力の基となるものです。上に行くにしたがって、応用、実践となっていき、実際に仕事や日常生活で使う場合に表面に出てくる具体的な思考力が、〇〇思考力といった形になるという関係になっています。

汎用性についても基礎部分はあらゆる場面で多かれ少なかれ必要であるのに対して、応用の〇〇思考力になれば、使える場面がある程度限定されてきます。

また、それらの能力がある程度性格的なものによるものと、トレーニングで鍛えることがより容易なものがあります。例えば基礎にある「知的好奇心・疑う心」というのは性格的なものに関わる部分も大きく、鍛えるには積極的なトレーニングや努力が必要です。知的好奇心がもともと旺盛な人物というのは、普段接する周囲の人の中でも思いつく人がいるのではないでしょうか。知的好奇心を身につけるには、自分が興味を持った物事をとことん突き詰めてみるという経験をするのもよいでしょう。その中で、他の分野にも興味が出てくることがあります。

これに対して、上のレイヤーにある「〇〇思考力」というのは、トレーニングによって強化したり習慣化したりすることが比較的容易であるということができます。

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