人手不足で地方公務員がブラック化する未来 過疎地域は住民支援で公務員を減らしづらい
平成の大合併を経て、地方の小規模自治体には広大な過疎地域を抱えることとなったところが増えた。総じて出生数が少なく、公務員のなり手も乏しい「地方」の小規模自治体ほど、住民が減っても地方公務員を減らしづらいのである。
これについては、総務省が、2040年に必要となる地方公務員数(教員、警察職員は含まない)を推計し、2013年と比較する形で減少率を公表している。政令指定都市のこの間の人口減少率は9.2%だが、公務員数はほぼ同じ9.1%減らすことができる。一方、人口1万人未満の町村は人口が37.0%減るのに24.2%しか減らすことができないというのだ。
総務省の人口推計によれば、2021年10月1日現在の20~64歳の日本人人口は6669万5000人だが、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によれば2045年には4分の1ほど少ない4905万4000人となる見込みだ。ここまで減ると、地方公務員の確保も相当難しくなる。
小規模自治体ほど人手不足が深刻
日本総合研究所の推計は、2045年に現行水準の行政サービスを維持するには地方公務員数が約83万9000人必要だが、約65万4000人しか確保できず、充足率は78.0%まで低下するとしている。自治体規模別では大都市(政令市、中核市、特例市)が83.0%、一般市が74.5%、町村が64.6%で、小規模自治体ほど人手不足が深刻になる。
これを裏付けるようなデータがある。公益財団法人東京市町村自治調査会の「自治体における窓口業務改革に関する調査研究報告書」(2020年)が生産年齢人口の減少率を基に窓口業務にあたる住民課正規職員数の増減率を計算しているのだが、2045年には2018年と比べて、多摩市30.3%減、八王子市29.2%減、町田市24.2%減など軒並み激減となる。
市役所や町村役場などが最低限必要とする職員数を2~3割も欠いたならば、窓口対応だけでなく、政策立案能力が低下する。そうでなくとも、平成の大合併で自治体の面積が拡大したところが少なくなく、1人の職員が受け持つ担当エリアはかつてに比べて拡大傾向にある。そうした状況でマンパワーが足りなくなったのでは、迅速な対応ができない場面が増加するだろう。
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