人手不足で地方公務員がブラック化する未来 過疎地域は住民支援で公務員を減らしづらい
人口減少の影響は、地方公務員も無関係ではない。小規模の市役所や町村役場の場合、採用試験の応募者はそこの出身者であるとか、学生時代に下宿していたとかといった何らかの縁を持っている人が大半だ。
ところが、総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(2022年1月1日現在)を見てみると、2021年は128の自治体で出生数が10人未満だった。このうち2つの地方自治体は出生数ゼロだ。年間1桁しか子供が生まれない地方自治体では、20年もしないうちに公務員試験の受験者不足に陥る可能性が大きい。
そもそも、すべての若者が地方公務員志望ということではない。出生数の減少が続いていけば、多くの地方自治体で計画通りの採用ができなくなる。日本は、人口あたりの公務員数が極端に少ない国とされるが、総務省の「地方公共団体の総職員数の推移」によれば、2021年の地方公務員の総数は280万661人(このうち一般行政は93万4521人)だ。
住民の高齢化が進み、きめ細やかな個別対応を求められる場面が増えてきているが、バブル経済崩壊以降の地方公務員数は減ったままだ。最多だった1994年の328万2492人と比べると2021年は14.7%も少なくなっている。
地方公務員がブラック化する未来
一方で、住民数のほうも減っていくのだから地方公務員数が少なくなっても業務に差し支えないようにも思えるが、そう単純ではない。
人口が増加していた時代においてすでに過疎地だった地区はある。こうした地区の住民がただちにいなくなるわけではないので、これまでと同規模の自治体職員数を必要とするからだ。むしろ、こうした過疎地域では今後、生活環境が厳しくなることが予想され、これまで以上に職員数を増やさなければならなくなる可能性もある。
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