唐田えりか「25歳の今、私が思っていることは…」 「自分にとにかく向き合い続けた」2年間を経て

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いろんな人が「えっ」って思っちゃうラストだと思います

── 里美は、偶然見かけた智徳に興味を持ち、迷いながらも自分から出会いを仕掛けていきます。里美自身は、彼との出会いに何を求めていたのだと思いますか?

唐田:う~ん……それは、人によっていろんな解釈の仕方があると思います。里美が智徳に対してなぜそんなに興味を持ったかについては、彼女なりの理由があって、それは映画の中で徐々に明かされていきます。その過程も含めて、恋愛になるかどうかはわからないけれど、その出会いをちょっと楽しんでいるような感じはしました。

── 一風変わったラブストーリーですが、二人の出会いの結末にも意表を突かれました(笑)。

唐田:そうですよね(笑)。いろんな人が「えっ」って思っちゃうラストだと思います。でもそのぶん、見た後に余韻が残るような気がします。あの終わり方を見ると、里美が言っていたことも、どこまでが事実でどこまでが作り話だったのかなって改めて思うかもしれませんし、そういう混乱も含めて、見てくださった方が楽しんでくれたらいいですね。

── 唐田さんの転機になった作品は、2018年にカンヌ映画祭にも出品された映画『寝ても覚めても』だと伺っています。カンヌでは受賞こそ逃したものの、上映後、客席の拍手が10分間鳴りやまなかった様子が日本でも大きく報じられました。ご自身も、ヒロイン・朝子役で複数の賞を受賞(※)されましたが、この作品で何をつかんだのでしょうか。

※第42回山路ふみ子映画賞新人女優賞、第40回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞

唐田:この作品に出会うまでは、お芝居というものがホントにわからなくて、苦手意識が膨らみ、「もうできない……」と思ってたんです。でも、濱口(竜介)監督と出会って、お芝居とは“感じて出すもの”だという、お芝居の根本を教えていただけたなと思っていて。そこから徐々に苦手意識がなくなり、いろんなお仕事をさせていただくうちに、わからないからこそ「もっと知りたい」という前向きな気持ちになっていきました。

── 撮影に入る前に濱口監督と重ねられたという、名前を呼んで振り向いてもらうワークショップもユニークですね。

唐田:そうなんです。監督から、「僕のことを呼んでみてください。本当に呼ばれたなと思ったら振り向きますから」と言われて。最初は、「濱口さん!」って何回呼んでも振り向いてもらえなかったのが、「あともうちょっと」などと教えられて何度も練習するうちに、クランクインの前日には一回で振り向いてもらえるようになって。呼びかける声で、相手への届き方がこんなにも違うんだなと気づかされました。

── それは何が違ったのでしょうか。

唐田:感覚的には、言葉じゃなくて、その言葉を発する体の奥の、心の中から出てくるものを大事にできるようになったというか。そういう意味で、自分も「ちゃんと呼べた」という実感があったし、演技指導というよりも、心の動きを鍛えてもらったような感じがします。

(写真:内田裕介(Ucci))
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