唐田えりか「25歳の今、私が思っていることは…」 「自分にとにかく向き合い続けた」2年間を経て
── 里美は、率直なようで本音の見えないミステリアスな女性ですが、役柄自体はすんなり掴むことができましたか?
唐田:全部が全部、すぐに理解できたわけではありませんが、理解できなくて苦しんだというわけでもなかったです。役を演じる時はいつも、まずは自分の役を理解しようというところから脚本を読み進めますが、その途中で「ここは理解できない」という感覚は、自分的にはあまりないまま進んでいけたような気がします。
里美は智徳に対してずいぶんトゲがあることを言いますが、その言葉を相手に向けながら、実は自分自身にも向けていたり、言いながら、『それは私だ』と内心気づく部分がきっとあって。そのうえで、辛辣な指摘をまっすぐに、言葉として発することができる強さはいいなぁと思いますね。たぶん彼女は、自分の弱さを知っている、強い女性なんだと思います。
彼女は、自分の弱さを知っている、強い女性なんだと思います
── そんな里美を演じていて、特に難しさを感じる場面はありましたか?
唐田:一瞬、どう演じようかと迷う瞬間はありました。でも、「今の表現は違ったかもしれない」と思った時は、竹馬監督がすぐに気づいて「もう一回」と言ってくださるし、方向は正しいのに躊躇がある時も、「唐田さんなら大丈夫、できますよ」という監督の言葉に自信をもらって、しっかり立てるようになっていきました。
竹馬監督は、ホントに私の芯の部分をちゃんと見てくださっている方で、安心感や信頼と同時に、竹馬さんには全部見透かされていて、嘘がつけないという思いもありました。
── 公開決定時に唐田さんが出したコメントの、「(竹馬監督の演出を受けて)自然と心が開き、“自分が限りなく自分になっていく”のを感じた」というのは、どういった感覚なのでしょうか。
唐田:演じる時は、もちろん役として言葉を発してるんですけど、現場に立って感じたままにしゃべっていると、ニュアンスを抜いているのに、それを超えてくる感情があって、役というよりも、自分の心が動かされた感覚になるというか。そういう瞬間が何度も訪れるうちに、役と自分が一体になっていく感覚がありました。
── それは、演じる仕事の醍醐味のひとつなのでしょうか。
唐田:そういう経験をいっぱいしたいなぁと思います。