前CEOがわずか11カ月で復帰「ディズニー」の異変 エンタメ業界の優等生に何が起きているのか

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ディズニーは新型コロナの影響に加え、2019年に21世紀フォックスの資産を713億ドルで買収したことで450億ドル以上という負債を抱えており、アイガーが新たな買収を追求するのは難しい状況になっている(アナリストの中には、ディズニーはロブロックスのようなゲーム会社をポートフォリオに加えることでうまくいくと考えている人もいるが)。

ハリウッドも、かつてと同じではない。

アイガーが最後にディズニーの経営を担っていたとき、投資家の関心はストリーミング配信のサブスクリプションに集中していた。世界中にできるだけ多く、できるだけ早く販売し、収益性については後で心配する。しかしこの考え方は、4月にNetflixの今年1~3月期に契約者数が解除した人を下回り、10年間にわたる安定した成長を覆したと発表したことで急変した。

投資家は今、ストリーミングで昔ながらの利益を見たいと考えている。日曜日に解雇されたチャペック氏とディズニーの最高財務責任者(CFO)であるクリスティン・マッカーシー氏は、2024年までにストリーミングサービス「Disney+」が黒字になると繰り返し約束していた。ウォール街や一部のディズニー幹部でさえ、これには懐疑的だ。

テーマパークは不況でない限りは頼りにできるが

ライバルのメディアコングロマリットの多くとは異なり、ディズニーは利益と成長のためにテーマパーク事業を頼ることができるーー不況に見舞われない限りは、である。ケーブルテレビ事業は、ケーブル供給会社からの支払額の増加によって安定的に成長し、ディズニーのセーフティネットとなってきたが、予想以上の速さで死滅している。

こうしたことが、アイガーを非常に困難な立場に追い込んでいる。

調査会社ライトシェド・パートナーズの創設者であるリチャード・グリーンフィールドは、2人の同僚とともに、火曜日のクライアントノートに「風景が大きく変化したため、彼は、彼が去る前に築いた道を単に歩み続けることはできない」と書いている。

ディズニーはコメントを控えている。

チャペックが城の塔から放り出されたのは、マッカーシーを含む同社の幹部たちが、チャペックがディズニーの問題を解決に導けるとはもはや考えていないことを取締役会に知らしめたことが一因である。これらの問題は、ストリーミングに始まり、おそらくほとんどの部外者が思っているよりもはるかに大きなものである。

そして、その問題はすべてチャペックに原因があるわけではない。

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