トヨタ、ベア4000円回答がもたらす「効果」

”儲けすぎ”批判に対するトヨタの回答

「ギリギリの限界。熟慮に熟慮を重ねた」と語るトヨタの上田常務役員

風向きが変わったのは、3月の第2週目以降だ。3月10日の組合の集会で、「賃金は、昨年の獲得実績を乗り越え、大きな前進を図るべく、最大限押し込んでいく」と、満額にこだわらないサインを送ると、翌日の第3回労使協議では、「人の力が原動力であることは十分に承知」(上田常務役員)と、会社側にも軟化が見られた。

今年の交渉が例年と異なったのは、回答日の3日前となる3月15日の日曜日に、事実上の決着をしていたことである。

「トヨタ労使が世間、グループに与える影響を考慮に入れて、早めの目線を出すことで、それぞれの企業が労使協議をやれるようにという、メッセージを話し合った」(上田常務)。「トヨタだけの交渉なら(回答日の)前日夜中までやってもいいが、社会性が強い今回は、グループの交渉を少しでも進めたい、時間を確保したいと考えて、(早めの決着を)考えていた」(鶴岡委員長)

つまり、トヨタの社会的な影響力を考慮し、労使双方が早期決着を意図したという。

絶妙だったトヨタの回答

今回のトヨタの回答は絶妙だ。

日本企業で突出した利益を上げるトヨタの妥結額は、グループはもとより、多くの企業の“天井”となる。これが低すぎると、賃上げの牽引役を果たせない。一方、トヨタが突出しすぎても、他の企業はついていけない。政府や組合が掲げる「格差是正」という方針にも反してしまう。

電機大手は6000円のベア要求に対し3000円で回答。これは昨年実績を1000円上回る。トヨタとしては、要求の3分の2、昨年実績を1300円上回ることで、賃上げに前向きな姿勢を示したのである。

そればかりでない。非正規社員の賃上げでは、月額で6000円となる、1日300円の満額回答をすることで、格差是正にも配慮してみせた。

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